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過払い金の仕組みと流れを系統立ててわかりやすくまとめました【親が過払いしているかもよ?】

前回の紹介と導入

前回がまだの方はこちらから。

<nanaco代行収納の改悪でYJカードの納付書が払えなくなる代わりに、過払い金請求の還付金で補填しようと思った話>

 

前回の要約をすると、

nanacoでクレカ返済の納付書が払えなくなるということで、

「そうだ!過払い金請求の還付金を補填しちゃおう!」

という流れから過払い金請求の仕組みの導入を紹介した形でした。

 

 

本記事は、

「過払い金ってよく聞くけど、そもそもどういうものなの?」

という人向けにまた、次の続く過払い金請求の話に繋がる架け橋とするために

関係する法律や解釈をまとめて紹介します。

 

法律って漢字が多いし、厳めしいんですよ。

どこまで入れて、どこを削って説明するかって考えると大変なのですが、

順を追って考えれば分かりやすいようにまとめました。

 

人によっては難しいかもしれませんが、

勉強にもなりますし是非頭を使っていってください。

ではさっそくいきます。

 

 

<理解①貸金業法の歴史>

法律は公布→施行

の順に行われます。

国会が可決した内容を一般に国民に開示することが公布で、

法的拘束力を持たせるためには公布の手続きを踏まなければいけません。

 

(昭和58年)1983年5月13日公布で11月1日に施行されたのが

「貸金業の規制等に関する法律」で、これが後に改正され

現在の「貸金業法(かしきんぎょうほう)」

に名称が変更されます。

ですので、「旧貸金業法」と言われた時に「貸金業の規制等に関する法律」と

反応できるようにしてください。

(ちなみに、旧貸金業法の方も、略して「貸金業法」と呼ばれていたこともありました。)

 

 

<理解②利息制限法(利限法)1条1項>

“金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約はその利息がつぎの利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分については無効である。”

 

・元本が100,000円未満の場合、年2割(20%)

・元本が100,000円以上1,000,000円未満の場合、年1割8分(18%)

・元本が1,000,000円以上の場合、年1割5分(15%)

 

 

【一般人向け解釈】

お金のやりとりで利息を考える時は、利息はとりすぎてはいけない。

具体的には年利20%か18%か15%と決める。

数字の違いは、やりとりの金額が大きくなるほど小さくなっている。

金額大きくなると、利息が大きくなってしまい、利息を返す借主が大変だからだ。

(例えば、同じ1%でも10万円の1%は1000円だが、100万円の1%は1万円)

 

もし利率以上の利息を決定していた場合は、

契約がなかったことになるのではなく、

具体的に決まっていたはずの利率まで適用して、

超えている利率部分には効力を及ばないものと考える。

(効力は及んでないなら、及んでいない部分に限って基本的には返してもらえる)

 

 

※わかる人は飛ばしていただいていいのですが、

特に民法などの法律解釈の初期で大事なのが

「取消し」と「無効」です。

我々が日常で使う言葉でも法律で使う時は少し感覚が違う場合があります。

上2つの言葉は「効力なし」という「気持ち」は共通ですが、

「取消し」は“契約時から”とか、“書面を出した時から”

といったような「最初から」無かったことにするという意味を含みます。

 

ですから、利息制限法においては、

あくまで「超過部分が無効になる」のであってその契約自体が無かったことにはならない

ということです。(契約自体は有効である)

 

 

<理解③旧貸金業法43条(2009年12月19日廃止)=みなし弁済>

“登録を受けた「貸金業者」が業として行う利息契約をした時に利息制限法に定める上限金利を超えていても一定条件*を備える場合「有効な利息の債務の弁済とみなす」“

 

【一般人向け解釈】

昔は登録制ではなかったが、時代が経過するうちにしっかりした業者だけがお金を貸し出すシステムにして消費者保護に努めようとした。その結果お上の登録を受ける必要がでてきた。

そもそもお金の貸し出しにあたって、

利息制限法というものがあった。

利息制限法の上限金利を超えた場合、超えた部分が「無効」となるのであった。

しかし、貸す側が一定条件*を整えさえしていれば、

借主が返済に際してつける利息はたとえ利息制限法の上限金利15~20%をこえても

(例えば25%としても)超過部分(例では5%分)は「無効」とならず、「有効」となる。

これを「みなし弁済」といい、「登録を受けた業者」の場合のみ適用する。

 

*にある「一定条件」とは、

1,債務者は、利息は任意に払っていたこと

2,業者は17条書面(契約書のこと)を交付したこと

3,債務者の弁済の都度18条書面(受領書のこと)を業者が交付したこと

4,出資法に違反しないこと

 

 

<理解④時効>

「最後の取引」(借りる・返す)から10年経つと時効となり、過払い金の請求ができなくなります。

<理解⑤悪意の受益者>

“悪意の受益者は、その受けた利益を、利息をつけて返還しなければならない”

 

これも、上で出てきた「取消し」や「無効」と同じく知るべきことの1つです。

「悪意」とは「悪気のある」や「意地悪い」といった意味ではなく、

「知っていた」という意味で使います。

「善意」…「知らなかった」

「悪意」…「知っていた」

という風に使います。

 

【一般人向け解釈】

貸金業者は、利息制限法に違反する部分つまり、

無効部分について知っている状態で利息を受け続けていたと推定される場合

悪意の受益者であると言える。

訴訟で解決できれば過払い金の他に、利息として5%をつけて請求できる。

 

逆に言えば、借主からの請求さえなければ、

大量に回収し続けて、法外な利息部分も自分たちのものとしていいということである。

時効は最後の取引から10年である。

もちろん、業者側からしてみれば敗訴した場合「5%」という高い利息をつけて返還しなければならないリスクもある。

 

 

<理解⑤和解と訴訟>

感覚的にも、悪意の受益者である「貸金業者」は100%借主に返すべきだと私は思うのですが皆さんはどうでしょうか?

 

しかし、業者からすればマイナス以外の何ものでもないので、

「先送りにしたい」し、できることなら「払いたくない」し

欲を言えば返すとしても「全額なんて払いたくない」と思いませんか?

 

そう、自分だったらそうするように、業者側もそうします。

 

裁判をしても、「和解」として「額面の50%で」とか「70%で」と額面を100%で案内してこないのです。最悪、和解して、内容に「利息を払わない」とされれば利息5%分損することになります。

 

しかし結果的に当たり前と言えば当たり前ですが勝訴できる例が多いようです。

利息5%はもらうべきです。

 

 

<理解⑥シティズ判決=みなし弁済の成立の否定>

理解④であったように、裁判の結果

ほとんどの業者がグレーゾーン金利部分の過払い金請求に応じていました。

しかし、「株式会社シティズ」だけは、みなし弁済を理由に過払い利息を返還しようとしませんでした。圧倒的多数の裁判でシティズは勝利を収めていました。

 

そのような中で敗訴した例があり、それがシティズ判決です。

(平成18年)2006年1月13日、最高裁判所の判決で、

“上限を超える金利について、事実上強制されて支払った場合、特段の事情がない限り、無効”

「期限の利益喪失の下での支払いにつき原則として任意性を否定した」

となりました。

 

これにより、みなし弁済が成立する余地はほとんどなくなりました。

 

【一般人向け解釈】

みなし弁済とは、一定条件を貸金業者が備えて初めて効力が発生する。

その要件の一つに「任意性」があった。

シティズ判決では、「特段の事情がない限り」上限を超えた金利は無効、

つまり事実上、利息支払者側が任意(了承しながら利息を払っていた)での場合にのみ適用されるみなし弁済が否定された形となる。

(みなし弁済の条件の一つを潰した。利息は必ずしもわかっていて払い続けたわけではないということ。)

よって、これを理由に2006年1月13日以降みなし弁済を主張しにくくなった。

 

 

<理解⑦旧貸金業法が改正→現貸金業法、そしてこれは5段階で施行された>

貸金業法の改正の動きに際して、最初に理解すべきことが2つあります。

まず、理解①であったように公布の動きについてです。

旧貸金業法を当時改正する時に、段階的に制度を変えていきました。

そこで、第一次施行として

(平成18年)2006年12月20日公布と同時に「施行」としました。

これ以降、次の段階の施行は、

「前段階の公布日より○日以内に施行」という条件付けで段階的に制度を変えるための締切りを付しました。

これにより、ドミノ式に次々と公布と施行を繰り返し、段々と第五次施行の最終段階まで実行できるというわけです。

ちなみに、改正法案は2006年10月31日に提出され、2ヶ月後の12月13日に成立しています。

 

 

2006/12/20          第一次施行(公布日より施行、公布日より1ヶ月経過した日から第二次施行)        完全施行までに達成すべき日時や目標等を提示

 

2006/1/13            シティズ判決=みなし弁済を主張しにくくなる

 

2007/1/20            第二次施行           ちょこっと改変

2007/12/19          第三次施行(本体施行部分にあたる) (公布日より1年以内に施行)

名称が「貸金業の規制等に関する法律」から現在の「貸金業法」へと変更

2009/6/18            第四次施行           (本体施行より1年半以内に施行)

指定信用情報機関制度を創設

2009/12/19          貸金業法43条を廃止

2010/6/18            第五次施行(完全な施行、本体施行より2年半以内に施行)

みなし弁済制度廃止・利息制限法改正・出資法改正・過剰貸付けの規制強化(総量規制)

 

実はここら辺はwikipedia等にもあるのですが、

年表形式でない上に、過払い金の流れを系統だてて知りたい人には分かりにくくかかれていると私は感じました。

 

過払い金に関係して大事な部分は

まず最初の2006年の第一次施行です。

ここで、最終的な改正の目標や見通しは提示されていて、

それが「段々と」実行されるという未来まではこの時わかりました。

 

今までグレーゾーン金利が発生していることがわかっている業者側は、

将来を見越して違法にならないよう次々上限利息を引き下げ始めました。

出資法自体はまだこの時、上限29.2%が適用されていますが、下げ始めがあったということです。

つまり、

この頃から、借りていた会社によっては過払い金が発生しなくなりつつある時期であったということが分かります。

 

そして、この傾向は

2007年の第三次施行の頃からさらに加速します。

 

なぜなら第三次施行は改正の本体施行にあたるとされていたからです。

そして、第五次施行が「本体施行より2年半以内に施行」と決定されていたのと、

その最後には上限金利の引き下げや、みなし弁済の廃止も視界に十分見えてきていた範囲だからです。

実際、今でもよく聞く大手消費者金融として

アコム・アイフル・プロミスは2007年12月19日までに金利を引き下げています。

<おまけ①過剰貸付けの抑制(総量規制)>

1社50万円、他社と合わせて100万円を超える貸付を行う場合、源泉徴収票等、収入の証明書を提出しなければなりません(義務)。かつ、年収の1/3を超える貸付は原則禁止です。

しかし、逆に言えば、50万円以下であれば提出義務がなにため、自己申告でOKとなります(OKとなってしまいます)。

 

 

<おまけ②総量規制の例外>

いくつか例外がありますが、過払い金で話にあがりそうなものを1つピックアップします。

それが、「配偶者貸し付け」です。総量規制はあくまで借りる本人の収入の問題です。

それを夫婦まで拡大解釈したものが配偶者貸し付けです。

何も難しいことはなく、収入を夫婦合算で、1/3を評価することができる制度です。

主婦をターゲットにしたキャッシングサービスにおいてよく使われた例外の制度です。

 

 

次回以降の見通しは、

nanaco代行収納の改悪でYJカードの納付書が払えなくなる代わりに、過払い金請求の還付金で補填しようと思った話

過払い金の仕組みと流れを系統立ててわかりやすくまとめました【親が過払いしているかもよ?】←(今ココ)

→我が家の状況と、過払い金請求をすると踏み切った過程について

→自分でやるか、司法書士に頼むか、弁護士に頼むか

 

と進めていく予定です。

 

<追記>

タイトルの後ろに【】で囲っているのですが、

【親が過払いしているかもよ?】

ということで、今回の記事は、行動力が強まってきて、かつ意欲に燃える20代の方たちにこそぜひ届いてほしくて書きました。

社会のことやましてや法律なんて全く知らない!という若い方たちが

難しいことが理解できるようになった「今」だからこそ、

「もし」あなたを育てるため、また、急な医療的な出費で一時的に借金していたら…

そして「もし」、過払い金が発生する時期に借りていたら…

 

自分で使わないにしても、「恩返し」でプレゼントしてもよいかも…?

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