第2部:「異常」定義の恣意性と歴史的経緯 — 数値が「病気」になる瞬間
プロローグ:一夜にして「患者」となった人々
1998年のある日、アメリカの62歳の退職教師ジョン・マーフィーは、かかりつけ医から電話を受けた。「昨日の健康診断の結果ですが、コレステロールが少し高めです。新しいガイドラインによると、あなたは治療が必要かもしれません」。前回の検査では「正常」と言われていたジョンは困惑した。彼の血液に何が起きたのだろうか? 実は何も変化していない。変わったのは「正常」の定義だった。
全米コレステロール教育プログラム(NCEP)が診断基準を改定したことで、一夜にして何百万人もの人々が「患者」になった。このシナリオは、1987年、2002年、2013年と繰り返され、そのたびに「異常」の境界線は下方修正された。この現象は単なる医学の進歩なのか、それとも別の要因が働いているのか。本稿では、脂質異常症の診断基準がどのように形成され変化してきたか、その背後にある科学的・経済的・社会的要因を掘り下げていく。
1. 診断基準の変遷史:下がり続ける「異常」の境界線
1.1 コレステロール「正常値」の歴史的変遷
コレステロール値の「正常」な範囲は、過去数十年で劇的に変化してきた。この変遷を追うことで、「異常」という概念の流動性が見えてくる。
1950年代、フラミンガム研究が始まった頃、総コレステロール値280mg/dL以上が「高コレステロール血症」と考えられていた。当時の研究者は、人口の上位5%程度が「異常」と判断される基準を採用していた。これは統計学的なアプローチであり、疾患リスクの評価というよりは単に分布の極端値を特定するものだった。
1970年代になると、コレステロールと心疾患の関連について初期の疫学データが蓄積され、240mg/dL以上が「高値」とされるようになった。しかし、治療介入はまだ限られた高リスク患者にのみ推奨されていた。
転機は1987年、NCEPが最初の包括的ガイドラインを発表したときに訪れた。総コレステロール240mg/dL以上、LDLコレステロール160mg/dL以上が「高値」と定義され、積極的な介入の対象となった。当時はスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)が市場に登場し始めた時期であった。
2001年、NCEPはATP III(成人治療パネルIII)を発表。LDLコレステロールの「最適値」を100mg/dL未満とし、リスク因子に応じた段階的な治療目標を設定した。そして2004年の改訂では、超高リスク患者の目標値がさらに70mg/dLに引き下げられた。
2013年、米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)は画期的な新ガイドラインを発表。LDL値による「閾値」を放棄し、代わりに「リスク算出式」に基づく治療決定を推奨した。この変更により、スタチン治療の対象が劇的に拡大したのである。
1.2 境界線の引き直し:エビデンスか便宜か
診断基準が変更される過程では、しばしば科学的・実用的・経済的考慮が複雑に絡み合う。コレステロール基準値の引き下げには、どのような根拠があったのだろうか。
実は、多くの「閾値」は連続的なリスク曲線の中から便宜的に選ばれたものだった。コレステロールと心血管リスクの関係は直線的ではなく、明確な「安全/危険」の境界線は存在しない。例えば、LDLコレステロール100mg/dLと101mg/dLの間に生物学的に意味のある境界はない。
フラミンガム心臓研究の分析者だったウィリアム・カステリ博士は、インタビューでこう述べている:「自然界には閾値はありません。私たちが診療しやすいように人為的に作ったものです。」
さらに注目すべきは、多くの閾値がラウンドナンバー(例:200、240、100)に設定されていることだ。これは科学的必然というよりも、記憶しやすさや実用性への配慮を示唆している。
興味深いことに、日本と欧米では長らく異なる基準値が採用されてきた。日本では2007年まで総コレステロール220mg/dL以上が「高コレステロール血症」とされ、その後もLDL基準値は140mg/dLと、米国の基準(100-130mg/dL)より高く設定されている。このような国際的不一致は、「異常」の定義が科学的絶対値ではなく、文化的・医療政策的判断を含むことを示している。
2. 製薬産業とガイドライン:見えない影響力の構造
2.1 利益相反という現実
診断基準の変更は、純粋に科学的な営みだけではない。基準値の設定に関わる委員会メンバーと製薬企業の関係は、しばしば議論の的となってきた。
2004年、NCEPがLDLコレステロールの目標値を下方修正した際、ガイドライン作成に関わった9人の委員のうち8人が脂質低下薬を製造する企業から研究資金や講演料を受け取っていたことが明らかになった。これは特異な事例ではない。2013年のAHA/ACCガイドラインでも、委員15人中7人が関連企業との財政的関係を報告している。
これらの事実は、委員が意図的に偏った判断をしたことを意味するものではない。しかし、利益相反が意思決定プロセスに無意識的影響を与える可能性は、心理学研究でも示されている。ロバート・シブリンスキー博士の研究によれば、製薬企業から資金提供を受けた医師は、その企業の製品に対してより肯定的な見解を持つ傾向があるという。
2016年、国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)が利益相反の報告基準を厳格化し、JAMA、NEJM、Lancetなどの主要医学雑誌がこれに準拠するようになった。しかし、利益相反の完全な排除は困難であり、透明性の確保が現実的なアプローチとされている。
2.2 マーケティング戦略としての疾患啓発
製薬企業は直接的なガイドライン影響だけでなく、「疾患啓発」を通じた間接的なマーケティング戦略も展開してきた。
2000年代初頭、コレステロール低下薬の世界的リーダーだったファイザー社は「Know Your Numbers」(あなたの数値を知ろう)キャンペーンを展開。一般市民にコレステロール値を定期的に測定するよう促す大規模な啓発活動を行った。表面上は教育的取り組みでありながら、実質的にはマーケット拡大戦略でもあった。
医療人類学者のジョセフ・ダマシオの分析によれば、このようなキャンペーンは「数値を知ること」と「治療を受けること」を心理的に結びつけ、医療介入への心理的障壁を下げる効果がある。実際、こうした啓発活動の後には、コレステロール検査数と脂質低下薬処方数の両方が増加する傾向が観察されている。
「疾患啓発」が公衆衛生に貢献する側面は確かにある。しかし同時に、それが特定の治療法への需要を創出するマーケティング手法としても機能している現実を認識することが重要だ。
3. 国際比較と矛盾:なぜ国によって「異常」が違うのか
3.1 基準値の国際的不一致
コレステロール管理の「最適値」は国や地域によって異なる。この事実は、基準値設定に科学以外の要素が関与していることを示唆している。
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、LDLコレステロールの管理目標値は一次予防では140mg/dL未満だが、米国AHA/ACCガイドラインでは、同等のリスク患者に対して100mg/dL未満が推奨されている。またヨーロッパ心臓病学会(ESC)は独自の基準を持っており、リスクカテゴリによって目標値が細分化されている。
カナダとオーストラリアは、特定の数値目標を設定するよりも、絶対リスク評価に基づく治療決定を重視している。一方、中国の基準値は急速に欧米化しつつあるが、インドでは独自のリスク評価システムを開発する動きもある。
これらの差異はなぜ生じるのだろうか。部分的には、国ごとの疫学データの違いが関係している。例えば、日本人は同じLDL値でも欧米人より冠動脈疾患リスクが低いというデータがあり、これが基準値の差に反映されている可能性がある。
しかし、より重要なのは医療政策、文化的要因、経済的考慮の影響だ。医療資源の配分、薬剤費用対効果の評価基準、予防医学への文化的態度など、多くの非科学的要素が「異常」の定義に影響を与えている。
3.2 疫学データの解釈と適用の問題
国際的な基準値の不一致は、同じエビデンスでも文脈によって解釈が変わることを示している。
大規模臨床試験の多くは欧米人を対象に実施されており、その結果をそのまま他の民族に適用することの妥当性は議論の余地がある。例えば、JUPITER試験(2008年)は主に白人を対象としていたが、その結果が世界中のガイドラインに影響を与えた。
日本人研究者による管理JLITやMEGA試験などの国内データは、日本人特有のリスクプロファイルを示唆しているが、国際的なガイドライン作成ではしばしば副次的な位置づけにとどまる。
各国の専門家パネルは同じエビデンスを検討しながらも、それを自国の文脈に「翻訳」する過程で異なる結論に達することがある。この事実は、診断基準が純粋な科学的真実というよりも、科学的知見の社会的解釈であることを示している。
4. 過剰診断の問題:健常者はどれだけ「異常」か
4.1 基準値引き下げの人口統計学的影響
診断基準の下方修正は、一夜にして多くの「正常」な人々を「患者」に変える。これは単なる統計上の変化ではなく、実生活に大きな影響を与える現象だ。
1987年のNCEPガイドライン導入により、推定2500万人の米国人が新たに「高コレステロール血症」と分類された。2001年のATP IIIでは、さらに3600万人が治療対象に追加され、2013年のAHA/ACCガイドラインでは、新たに1300万人がスタチン治療の候補となった。
人口の視点から見ると、現在の基準値では、40歳以上の米国人の約半数が何らかの「脂質異常症」に分類される。日本でも、40歳以上の約4割が脂質異常症の診断基準を満たしている。
このように基準値が下がるにつれて、「病気」と「健康」の境界は曖昧になり、「正常」の概念そのものが縮小していく。人口の半数が「異常」となる状況は、医学的に意味のある分類なのか、それとも過剰診断の表れなのか、深刻な問いを投げかける。
4.2 統計的正常と臨床的意義のギャップ
統計的に「異常」とされる値と、臨床的に意味のある値との間にはしばしば乖離がある。この問題を具体的に考えてみよう。
60歳の男性が健康診断でLDLコレステロール145mg/dLと診断された場合、日本の基準では「軽度高LDL血症」となる。しかし、この値は同年代男性の分布ではほぼ中央値に近い。つまり、統計的には「正常」なのに、臨床的には「異常」と判断されるのだ。
さらに重要なのは、こうした「軽度異常」の絶対リスク寄与度だ。同じLDL 145mg/dLでも、喫煙者と非喫煙者では心血管リスクが大きく異なる。喫煙、高血圧、糖尿病などの主要リスク因子を持たない人にとって、このレベルのLDL値による絶対リスク増加は年間1%未満とされる。
オーストラリアの疫学者デイヴィッド・サックットは、「異常値の蔓延は診断のインフレーションであり、標準から逸脱した値を持つことと、治療が必要な臨床的状態であることを区別すべきだ」と指摘している。
5. リスク評価の問題点:相対リスクと絶対リスク
5.1 相対リスク減少の誇張
脂質異常症の治療効果は、しばしば「相対リスク減少」として伝えられる。これは実際の臨床的利益を過大評価させる可能性がある。
例えば、「スタチン治療により心血管イベントリスクが36%減少」という表現は印象的だが、これは相対リスク減少を指す。同じデータを絶対リスク減少で表現すると「100人に5年間投与して3人の心血管イベントを予防できる」となり、印象が大きく変わる。
このギャップを具体的に示す例として、2008年のJUPITER試験がある。この研究では、低リスク集団へのロスバスタチン投与により心血管イベントの相対リスク減少は44%だったが、絶対リスク減少はわずか1.2%(89人治療して1人のイベント予防)だった。
「相対リスク」表現は科学的に誤りではないが、臨床決断や患者コミュニケーションにおいては絶対数値も同時に考慮することが重要だ。特に予防的介入の場合、得られる絶対的利益は個人のベースラインリスクに大きく依存する。
5.2 個別化リスク評価の複雑性
脂質異常症の影響は個人によって大きく異なるため、画一的な基準値は限界がある。より精密なアプローチは個別化リスク評価だが、これにも課題がある。
現在広く使われているリスク評価ツール(フラミンガムリスクスコア、ASCVD Risk Estimatorなど)は、脂質値に加えて年齢、性別、血圧、喫煙の有無などを考慮する。しかし、これらのツールには以下のような限界がある:
- 過大評価と過小評価:特に特定の人種・民族グループでリスクを系統的に誤評価することがある
- 新興リスク因子の除外:家族歴、社会経済的要因、ストレス、睡眠の質などの影響が考慮されない
- 短期的リスクへの焦点:多くのスコアは10年リスクを評価するが、若年者の生涯リスクを過小評価する
ヨーロッパのSCORE、米国のACCVD Risk Calculator、日本のJALS、そして最近のQRISKなど、様々なリスク計算ツールが存在するが、どれも完璧ではない。同じ患者でもツールによって異なるリスク評価結果が出ることは珍しくない。
この状況は、英国の疫学者ジェフリー・ローズが指摘した「予防のパラドックス」を反映している。すなわち、集団全体のリスクを下げる介入が、個人レベルでは限定的な利益しかもたらさない場合があるのだ。
6. 革新的視点:「異常」から「リスク要素」への転換
6.1 二項対立を超えた連続的評価
「正常/異常」という二分法は、脂質代謝の連続的な性質を適切に捉えていない。より洗練されたアプローチが必要だ。
現代的な理解では、脂質値は「正常か異常か」ではなく、「どの程度のリスク寄与があるか」という視点で評価される。例えば、LDLコレステロールが130mg/dLから160mg/dLに上昇すると、リスクは連続的に増加するが、140mg/dLを境に突然「病気」になるわけではない。
この連続的リスク概念は、2018年の欧州動脈硬化学会(EAS)声明で強調された:「脂質値とリスクの関係は連続的であり、安全と危険を分ける魔法の数値は存在しない」。
健康と疾患の間に明確な境界線を引くのではなく、個人のリスクプロファイル全体の中で脂質値の意味を評価するアプローチが、より科学的に正確で臨床的に有用である。
6.2 個人の文脈を尊重した意思決定支援
究極的には、「異常」かどうかではなく、その人にとって介入が適切かどうかが重要な問いである。
オランダの一般診療医ヤン・ド・メイは、「検査値の意味は患者の物語の中でのみ理解できる」と述べている。この視点は、数値を個人の生活文脈、価値観、目標の中で解釈することの重要性を強調している。
例えば、家族性高コレステロール血症の家族歴を持つ45歳の人と、健康長寿の家系に属する85歳の人では、同じLDL値でも意味が異なる。また、副作用への懸念が強い人と、予防に積極的な人では、同じリスクレベルでも治療の決断が変わってくる。
このような個別化アプローチは、より多くの医療資源と時間を必要とするが、「一律基準値」に基づく過剰診断・過少診断を減らし、真に患者中心の医療を実現する道だろう。
7. 科学、経済、文化の交差点としての「異常」定義
7.1 社会的文脈の無視できない影響
脂質異常症の基準値は、純粋な生物学的基準ではなく、科学、経済、文化が交差する領域で形成されている。
米国の低LDL目標値は、強力な製薬産業の存在、訴訟リスクの高い医療環境、技術主導の医療文化を反映している。一方、スカンジナビア諸国の比較的高い介入閾値は、費用対効果を重視する公的医療システムと人口レベルの予防アプローチを優先する文化的背景を反映している。
日本の基準値は、疫学的特徴(欧米人より心血管疾患率が低い)に加え、集団スクリーニングの伝統や専門医のパターナリズム的傾向など、文化的要素も反映している。
このように「異常」の定義は、科学的データだけでなく、社会が医療に何を期待し、どのような価値を優先するかによっても形作られる。基準値の国際的差異は、科学的不確実性というよりも、むしろ社会的選好の違いを表している面がある。
7.2 医療化と脱医療化の波の中で
基準値の変遷は、より広い「医療化」と「脱医療化」の流れの中で理解することができる。
1980-2010年代は、脂質異常症を含む様々な健康リスク因子の「医療化」(医学的問題として定義・治療する傾向)が進んだ時期だった。これは予防医学の発展、製薬技術の進歩、そして健康への社会的関心の高まりを背景としていた。
しかし近年、過剰診断への懸念、エビデンス評価の厳格化、患者中心主義の台頭などを背景に、部分的な「脱医療化」の動きも見られる。例えば、2019年の欧州心臓病学会ガイドラインでは、低リスク患者への薬物介入閾値が以前より引き上げられた。
疫学者のジョン・イオアニディスは「我々は病気の定義を拡大しすぎた」と警告し、医療人類学者のアーサー・クラインマンは「生物医学の過度な拡張は、人間の多様性を病理化する危険性がある」と指摘している。
基準値設定は、科学的でありながら同時に社会的・文化的価値判断でもある。この事実を認識することで、より透明で批判的な議論が可能になるだろう。
結論:「正常」という概念の再考
「異常」の定義は、純粋な科学的営みではなく、科学と社会の複雑な相互作用の産物である。診断基準の歴史的変遷を辿ると、そこには科学的知見だけでなく、経済的利害、文化的背景、医療政策など、多様な要素が影響していることがわかる。
脂質異常症の基準値が持つ恣意性を認識することは、それを無意味と断じることではない。むしろ、その限界と文脈依存性を理解した上で、より賢明に活用するための第一歩である。真に意味のある脂質評価は、単一の数値ではなく、個人の全体的な健康状態、リスクプロファイル、そして個人の価値観と目標を考慮した総合的判断に基づくべきだろう。
次回の「第3部:因果関係の批判的検証」では、脂質値と心血管疾患の関連性に関する科学的エビデンスを批判的に再検討し、実際にどこまでが証明されているのかを明らかにする。
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