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浄水器でPFAS除去は可能か?|世界の基準値から見る性能比較と選び方

第9部:リスク評価と規制の課題 – 科学と政策の狭間で

環境中に広がり、人体にも検出されるPFASやマイクロプラスチックは、健康リスクの観点からどのように評価され、規制されるべきなのだろうか。この問いは、単なる科学的判断の問題ではなく、社会的・経済的・政治的側面を含む複雑な意思決定プロセスを内包している。本章では、これらの新興汚染物質のリスク評価に伴う科学的課題と、それに基づく政策決定の枠組みについて、国際的な視点から検討する。

リスク評価の科学的課題:従来の枠組みの限界

PFASやマイクロプラスチックのリスク評価は、従来の化学物質評価の枠組みでは適切に捉えきれない特有の困難さを抱えている。この「新たな挑戦」は、リスク評価の各段階で生じている。

ハザード同定の複雑性

リスク評価の第一歩は「何が危険か」を特定する「ハザード同定」だが、PFASやマイクロプラスチックの場合、この段階から課題が山積している。Cousins et al. (2020)が指摘するように、PFASは4,000〜10,000種類もの化合物群を含み、その全てについて毒性データを得ることは実質的に不可能である。このため、一部の代表的化合物(PFOS、PFOA、PFHxS、PFNAなど)のデータに基づいて、他の類似化合物のリスクを推測せざるを得ないという状況がある。

Kwiatkowski et al. (2022)の最新レビューによれば、現在分析対象となっているPFAS化合物は全体の1%未満にすぎず、多くの「未知のPFAS」が存在するという。これは、全ての潜在的なハザードを把握できていない可能性を示唆している。さらに、短鎖PFAS(炭素数6以下)への代替が進んでいるが、これらの安全性評価はまだ十分ではなく、「後悔すべき代替」(regrettable substitution)となる懸念が指摘されている。

マイクロプラスチックについても同様の問題がある。Koelmans et al. (2022)によれば、環境中のマイクロプラスチックは材質(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)、サイズ(ナノからミリメートル)、形状(球状、繊維状、破片状など)、表面特性(吸着物質の存在など)が多様であり、これらの全ての組み合わせについてハザード評価を行うことは現実的ではない。特に毒性がより高いと考えられるナノプラスチック(直径1μm以下)は検出・定量が技術的に困難であり、実環境中での存在量と分布を正確に把握できていないという課題がある。

用量-反応関係の非線形性

リスク評価の次の段階は「どのくらいの量で危険か」を示す「用量-反応関係」の評価である。しかし、PFASやマイクロプラスチックの場合、古典的な「量が毒を作る」という直線的な用量-反応関係が当てはまらない可能性が指摘されている。

PFASについては、Grandjean et al. (2018)の研究が重要な知見を提供している。彼らはフェロー諸島の住民を対象とした長期コホート研究で、乳幼児期のPFAS曝露(特にPFOA)が小児期のワクチン応答を低下させることを発見した。注目すべきは、この免疫抑制効果が「現在の一般人口でみられる血中濃度レベル」で観察されたことであり、「閾値なし効果」(no threshold effect)の可能性が示唆された。すなわち、どんなに低濃度であっても、ゼロでなければ何らかの影響がありうるということである。

内分泌かく乱作用においても非線形性が観察されている。Vandenberg et al. (2019)のレビューによれば、PFASを含む多くの内分泌かく乱物質は「非単調用量反応曲線」(non-monotonic dose-response curves)を示すことがある。これは、低用量で特有の影響が現れ、用量の増加に従って影響が強くなるとは限らないことを意味する。例えば、U字型やJ字型の用量-反応関係では、中間用量より低用量または高用量で強い影響が現れることがある。このような非線形的関係は、高用量データからの直線的外挿に基づく従来のリスク評価アプローチの妥当性に疑問を投げかけるものである。

マイクロプラスチックについても、粒子サイズと毒性の関係に非線形性が見られることが報告されている。Jeong & Choi (2020)の研究では、粒子サイズが小さくなるほど生物への取り込み効率と毒性影響が必ずしも単調に増加するわけではなく、特定のサイズ範囲(50-500nm)で最大の影響が観察される「サイズ依存的毒性」(size-dependent toxicity)の存在が示唆されている。

複合曝露と混合物効果

現実環境では複数のPFAS化合物や他の環境汚染物質への同時曝露が生じており、これらの「混合物効果」(mixture effects)をどのように評価するかも重要な課題である。伝統的なリスク評価は個別物質の評価を基本としているが、混合物の影響はしばしば個別評価の単純な合算では予測できない。

ATSDR(米国有害物質疾病登録局)の2023年の技術報告書では、PFOS、PFOA、PFHxS、PFNA、PFDEAなど7種類のPFAS混合物について、肝臓・免疫系・甲状腺への影響に関する「ハザード指数」(Hazard Index)が提案された。しかし、この評価でもPFAS全体の1%にも満たない物質しか考慮されておらず、未知の混合物効果が存在する可能性が高い。さらに、Ojo et al. (2023)の研究では、特定のPFAS混合物において、個別評価から予測される以上の影響(相乗効果)が示されており、単純な加算モデルでは混合物リスクを過小評価する可能性が指摘されている。

マイクロプラスチックとPFASの複合影響も注目されている。マイクロプラスチックは環境中の疎水性汚染物質(POPs)の「運び屋」として機能することが知られているが、Li et al. (2023)の最新研究では、マイクロプラスチック表面に吸着したPFASが生物への取り込みを増加させ、毒性を増強する可能性が示されている。このような「トロイの木馬効果」は、個別物質の評価では捉えきれない複合リスクの一例である。

長期低用量曝露の評価困難性

PFASやマイクロプラスチックの特徴の一つは、環境中での残留性と生体内での半減期の長さである。このため、極低濃度であっても長期間にわたって曝露が続けば、体内に蓄積して有害影響をもたらす可能性がある。しかし、このような「長期低用量曝露」の影響を実験的に評価することは極めて困難である。

実験動物の寿命は人間より短く、生涯にわたる曝露実験は現実的ではない。また、微量影響を検出するためには大規模なサンプルサイズが必要だが、これは倫理的・経済的制約から困難であることが多い。Grandjean & Budtz-Jørgensen (2017)は、これらの制約が「偽陰性」(false negative)結果のリスクを高め、潜在的な健康影響を見逃す可能性があると警告している。

ヒトにおける疫学研究も、曝露評価の難しさや交絡因子の制御、長期追跡の必要性など、様々な方法論的課題を抱えている。Domingo & Nadal (2019)によれば、PFAS曝露と健康影響の因果関係を確立するためには、複数の曝露バイオマーカー(血液、尿、髪、爪など)を用いた縦断的研究が理想的だが、そのようなデータはまだ限られているという。

マイクロプラスチックについては、ヒトにおける長期健康影響の研究はさらに初期段階にある。Wright & Kelly (2017)は、マイクロプラスチックの生体内分布と長期蓄積に関するデータが不足しており、健康リスク評価の大きな不確実性となっていると指摘している。

国際的な規制アプローチの比較

PFASやマイクロプラスチックへの規制アプローチは国や地域によって大きく異なり、科学的エビデンスの解釈、予防原則の適用、社会経済的要因の考慮などの点で顕著な違いが見られる。

米国:段階的強化と州レベルのイニシアチブ

米国のPFAS規制は、連邦レベルと州レベルの二重構造となっている。連邦レベルでは、環境保護庁(EPA)が中心的役割を果たしており、2023年3月に「PFAS戦略的ロードマップ」の最新版を発表した。その中で特に注目されるのが、2023年に提案され2024年に最終化された飲料水中のPFOSとPFOAの規制値である。Zubairi et al. (2023)によれば、EPAは両物質について4ナノグラム/リットル(4 ng/L)という極めて厳格な上限値を設定した。これは、以前の健康勧告値(70 ng/L)より大幅に厳しい基準であり、「100万人に1人のがんリスク」という水準に基づいて設定されている。

この規制強化の背景には、C8科学パネル(C8 Science Panel)の研究成果がある。このパネルは、DuPont社のPFOA汚染に関する集団訴訟の和解に基づいて設立された独立科学者グループで、約7万人の住民の健康調査を実施した。Steenland et al. (2020)によれば、この調査結果はPFOAと6種類の疾患(腎臓がん、精巣がん、潰瘍性大腸炎、甲状腺疾患、高コレステロール血症、妊娠高血圧症)との「蓋然性の高い因果関係」を示し、EPAの規制強化の科学的根拠となった。

一方、州レベルでは連邦基準に先行して独自の厳しい基準を導入する動きが見られる。特にミシガン州、ニュージャージー州、バーモント州などが先進的で、Post et al. (2022)によれば、ニュージャージー州は2020年に世界で初めてPFOBSの飲料水基準(13 ng/L)を設定した。こうした州レベルの取り組みは「実験室としての州」(states as laboratories)という米国の連邦制の特徴を反映しており、連邦規制の進化を促す役割も果たしている。

マイクロプラスチックについては、米国はカリフォルニア州が先行している。Coffin et al. (2022)によれば、カリフォルニア州は2018年に「カリフォルニア海洋ごみ防止戦略」を採択し、2021年には飲料水中のマイクロプラスチックのモニタリング義務化と最大許容レベルの設定を目指す法律を成立させた。これは世界初の飲料水中マイクロプラスチック規制の枠組みであり、2023年7月には飲料水中のマイクロプラスチックの標準測定方法が採択されている。

欧州連合:予防原則に基づく包括的アプローチ

欧州連合(EU)は、化学物質規制において世界で最も予防的なアプローチを採用している地域の一つである。PFASについては、REACH(化学品の登録・評価・認可・制限に関する規則)の枠組みのもと、包括的な規制が進められている。

Cousins et al. (2022)によれば、EUはPFASを「物質群」(class of substances)として規制する先駆的アプローチを採用している。この「グループアプローチ」は、個別のPFAS化合物ではなく、共通の構造的特徴(例:完全にフッ素化されたメチル基やメチレン基を少なくとも一つ含む)を持つPFAS全体を規制対象とするものである。2023年2月には、ドイツ、オランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの5カ国が共同で、非必須用途におけるPFASの包括的な制限を提案した。この提案が採択されれば、約1万種のPFAS化合物が「エッセンシャルユースのみ」に制限されることになる。

EUはまた、飲料水指令(Drinking Water Directive)を通じて、2023年1月から飲料水中のPFAS規制を強化した。新基準では、20種類のPFASの合計濃度を100 ng/L以下、特定の11種類のPFASの合計を50 ng/L以下とすることが求められている。さらに、2025年までの移行期間を経て、2026年からはドイツが提案するより厳格な基準(PFASの総量10 ng/L)の導入が検討されている。

マイクロプラスチックについても、EUは積極的な規制を進めている。2023年9月には、化粧品、洗剤、農薬、玩具など様々な製品に意図的に添加されるマイクロプラスチックを禁止する規制が採択された。この規制は8年間の移行期間を設け、段階的に実施される予定である。Prata et al. (2021)によれば、この規制により年間約50万トンのマイクロプラスチックの環境放出が防止されると推定されている。

また、2030年までに全てのプラスチック包装をリサイクル可能にすることを目指す「サーキュラーエコノミーアクションプラン」や、使い捨てプラスチック製品を制限する「単一使用プラスチック指令」など、マイクロプラスチックの発生源対策も包括的に実施されている。

アジア太平洋地域:日本と中国の対照的アプローチ

アジア太平洋地域では、経済発展段階や政治体制の違いを反映して、環境規制のアプローチに大きな多様性が見られる。日本と中国は同地域の主要経済国であるが、PFASやマイクロプラスチックへの対応は対照的である。

日本のPFAS規制は、国際的に見て比較的緩やかである。Cui et al. (2023)によれば、日本は2020年にPFOSとPFOAを「第一種特定化学物質」に指定し、原則として製造・輸入を禁止した。しかし、代替PFAS(特に短鎖化合物)に対する規制はまだ限定的である。水道水についても、2020年に厚生労働省がPFOSとPFOAの合計値に関する「目標値」を50 ng/Lと設定したが、これは法的拘束力のない指針値であり、米国EPAの基準値(4 ng/L)や中国の基準値(20 ng/L)と比較しても緩やかなものとなっている。

一方、中国は近年、環境規制を急速に強化している。Zhou et al. (2023)によれば、中国は2023年3月に改正「飲用水水質標準」を公布し、PFOSとPFOAの合計値の基準を20 ng/Lに設定した。これは日本の目標値の2.5倍厳しい基準であり、中国政府の環境問題に対する姿勢の変化を示している。また、中国は2022年に発効したストックホルム条約の改正に基づき、PFOAとその塩および関連化合物の製造・使用・輸出入を制限する国内規制を強化している。

マイクロプラスチック問題への対応においても、両国の差異が見られる。日本は2022年4月に「プラスチック資源循環法」を施行し、使い捨てプラスチック製品の削減や再利用促進を図っているが、マイクロプラスチックそのものを直接規制する法律はまだ制定されていない。環境省の方針は主に「実態把握と科学的知見の蓄積」に重点が置かれており、規制導入は慎重なアプローチが取られている。

それに対して中国は、2020年に「プラスチック汚染防止管理に関する意見」を発表し、段階的なプラスチック規制を開始した。特に注目されるのは、2022年末までに全ての化粧品・パーソナルケア製品における「洗い流しタイプ」のマイクロビーズの使用禁止を実施したことである。これは先進国のマイクロビーズ規制(米国のMicrobead-Free Waters Act 2015や英国のEnvironmental Protection Regulations 2017など)に匹敵する措置であり、中国の環境政策の「キャッチアップ」を示すものといえる。

規制アプローチを形成する要因

各国・地域の規制アプローチの違いは、単なる科学的見解の相違ではなく、多様な社会的・経済的・政治的要因によって形成されている。これらの要因を理解することは、国際的な規制協力の可能性と限界を考える上で重要である。

予防原則 vs 証拠重視アプローチ

PFASやマイクロプラスチックのような新興汚染物質に対する規制アプローチの根本的な差異は、「予防原則」(precautionary principle)と「証拠重視アプローチ」(evidence-based approach)のバランスの違いに見出すことができる。

予防原則は「深刻または不可逆的な被害のおそれがある場合には、科学的不確実性を理由に対策を先送りしてはならない」という考え方である。EUの環境政策はこの原則に強く依拠しており、Lioy et al. (2020)によれば、EUのPFASグループ規制アプローチは「科学的証拠が完全ではなくても、構造的類似性に基づいて予防的措置を講じる」という予防原則の具体的適用例と言える。

一方、米国や日本、韓国などでは、規制導入に当たってより詳細な科学的証拠と費用便益分析を重視する傾向がある。特に米国では、主要な環境規制は訴訟の対象となることが多く、「恣意的かつ気まぐれ」(arbitrary and capricious)であるとの批判に耐えうる堅固な科学的根拠が求められる。Cordner et al. (2021)は、このような法的環境が米国の規制当局をより慎重にさせ、規制進展を遅らせる要因になっていると指摘している。

日本の場合、伝統的に「コンセンサス型」の政策決定を重視する傾向があり、産業界を含む幅広いステークホルダーの合意形成を通じた段階的アプローチが取られることが多い。Naiki (2022)によれば、このアプローチは社会的受容性を高める一方で、急速な規制強化を困難にする傾向がある。

産業構造と経済的要因

PFASやプラスチック産業の経済的重要性も、規制アプローチに大きな影響を与えている。Andrews & Walker (2016)の分析によれば、フッ素化学品産業は高付加価値・高技術産業であり、特に日本、中国、米国などでは経済的・戦略的に重要な位置を占めている。PFASは半導体製造、医療機器、防衛産業など「エッセンシャルユース」と見なされる分野でも広く使用されており、即時全面禁止は現実的ではないという考えが、段階的規制アプローチを支持する根拠となっている。

経済的影響への考慮は規制の費用便益分析にも反映される。米国EPAが2023年に発表したPFAS飲料水規制の費用便益分析では、規制遵守コスト(約15億ドル/年)に対し、健康便益(約12億ドル/年)が計上されている。興味深いことに、Alberini et al. (2022)の研究では、この便益推計には、がんリスク減少などの「直接的健康便益」だけでなく、「汚染への不安軽減」という心理的便益も含まれている。これは、リスク認知と主観的幸福感が環境政策の重要な評価要素になりつつあることを示している。

プラスチック産業についても同様の経済的考慮が働いている。特に途上国では、プラスチック製造・リサイクル産業が雇用創出と経済発展に重要な役割を果たしており、厳格な規制導入には慎重なアプローチが取られることが多い。一方、欧州では「サーキュラーエコノミー」への移行を経済成長戦略として位置づけ、環境規制と経済発展の両立を図る「グリーン成長」モデルが追求されている。MacArthur & Zumwinkel (2019)によれば、EUのサーキュラーエコノミー戦略は2030年までに約70万の新規雇用創出と年間約4,500億ユーロのGDP増加をもたらすと推計されている。このように、欧州では環境規制強化を「負担」ではなく「機会」と捉える経済的フレーミングが政策形成に影響を与えている。

社会的要因と市民の関与

市民のリスク認知や社会運動も、規制政策の形成に重要な役割を果たしている。PFASに関しては、汚染地域の住民運動が規制強化の原動力となった事例が各国で見られる。

米国では、映画「暗黒の水」(Dark Waters)や「最悪の汚染」(The Devil We Know)で描かれたウェストバージニア州パーカーズバーグのDuPont工場周辺の汚染問題が社会的関心を高めた。Emmett et al. (2019)によれば、住民主導の「C8科学パネル」の設立と調査結果は、科学的知見の蓄積だけでなく、「市民科学」(citizen science)の成功例として規制当局に影響を与えた。

欧州でも、オランダのドルドレヒト周辺のPFAS汚染問題や、イタリアのベネト地方のPFAS汚染が社会問題化し、市民団体「No PFAS」の活動などを通じて政策変更を促した。Stoiber et al. (2022)は、これらの住民運動が「問題の可視化」と「政策優先度の変更」において重要な役割を果たしたと評価している。

マイクロプラスチック問題については、海洋プラスチック汚染の象徴的イメージ(例:海亀の鼻に刺さったプラスチックストロー)がソーシャルメディアで拡散したことで社会的関心が高まり、「プラスチックフリー」運動などの消費者主導のキャンペーンが発展した。Bucci et al. (2022)によれば、これらの社会運動は企業の自主的取り組みを促進するとともに、政府規制導入への「政治的空間」を創出する役割を果たしている。

リスクコミュニケーションの課題

PFASやマイクロプラスチックのような複雑な環境健康リスクを一般市民に伝え、理解を促すことは容易ではない。科学的不確実性をどのように伝えるか、リスクの文脈化と比較をどのように行うか、情報の透明性と受け手の不安のバランスをどう取るかなど、様々な課題がある。

不確実性の伝達

科学的知見には常に不確実性が伴うが、その不確実性をどのように伝えるかは、リスクコミュニケーションの重要な課題である。Fischhoff & Davis (2022)は、不確実性の伝達において「伝えすぎ」と「伝えなさすぎ」のバランスが重要だと指摘している。不確実性を強調しすぎると「何もわかっていない」という誤った印象を与え、対策の先送りを正当化する口実になりかねない。一方、不確実性について十分に説明しないと、後に知見が更新された際に情報源の信頼性が損なわれるリスクがある。

PFASのリスクコミュニケーションにおいて参考になるのが、2018年にオランダの国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が開発した「暫定指針値」(temporary guideline values)の枠組みである。Beekman et al. (2021)によれば、この枠組みは「現在の科学的知見に基づいた暫定的な指針値」という位置づけを明確にし、「知見の更新に伴って値が変化する可能性」を予め伝えることで、基準値変更時の混乱を最小化することに成功した。

マイクロプラスチックについては、「検出されること」と「健康リスクがあること」の区別を明確にすることが重要である。Burton (2021)は、微量のマイクロプラスチックが体内で検出されたという研究結果が「恐怖を煽る見出し」(fear-mongering headlines)で報道されることで、実際のリスクレベルについての冷静な議論が困難になっていると指摘している。専門家には「存在」と「リスク」の違いを丁寧に説明する責任があり、「検出=危険」という短絡的な理解を避けるコミュニケーション戦略が求められる。

リスクのコンテキスト化と比較

抽象的なリスク情報を具体的な文脈の中に位置づけ、他のリスクと比較することで理解を促す「リスクのコンテキスト化」も重要なアプローチである。しかし、どのようなリスク比較が適切かについては議論がある。

Papadopoulos et al. (2022)は、リスク比較の際に「比較対象の選択」が批判的に問われるべきだと主張している。例えば、PFASのリスクを「喫煙や大気汚染よりも小さい」と比較することは、個々のリスクを過小評価させる可能性がある。一方で「リスクが全くないわけではない」といった曖昧な表現も、具体的なリスク理解に役立たない。

効果的なアプローチとしては、「日常的な選択における相対リスク」の文脈化が挙げられる。例えば、Wright et al. (2023)は、PFASが検出された水道水を飲むリスクと、その代わりにペットボトル入り飲料水(プラスチック暴露リスクを伴う)を選択するリスクを比較する枠組みを提案している。このような「選択肢間のトレードオフ」という文脈化は、実際の意思決定に役立つ情報提供となる。

マイクロプラスチックについても同様のアプローチが有効であろう。例えば、Alessi et al. (2022)は、使い捨てプラスチック製品を避けることと、食品ロスや衛生上のリスク増加とのトレードオフを具体的に示すことで、バランスの取れた判断を促す情報提供の重要性を指摘している。

情報の透明性とエンパワーメント

リスクコミュニケーションの最終目標は、市民が自ら情報に基づいた判断を行えるよう「エンパワー」することである。そのためには情報の透明性と理解しやすさが不可欠である。

Paolini & Rusyn (2022)は、PFASなど環境汚染物質の情報提供において「知る権利」(right to know)の原則が重要だと強調している。彼らは、米国の一部の州で導入されている「汚染地図」(contamination maps)や「井戸水検査プログラム」など、市民が自らの曝露状況を把握できるツールの有効性を評価している。特に注目すべきは、ノースカロライナ州の「GenX曝露スタディ」のような、汚染地域住民が自らの血中PFAS濃度を知ることができるプログラムである。このような「個人レベルのデータへのアクセス」は、抽象的なリスク情報を個人の文脈に変換する上で効果的である。

マイクロプラスチックについては、消費者の選択を支援する情報提供が重要である。Hartmann et al. (2022)は、製品中のマイクロプラスチック含有量や環境への排出リスクなどを表示する「環境フットプリントラベル」の可能性を検討している。このようなラベリングシステムは、消費者に「回避選択肢」(avoidance options)を提供することで、リスク管理における能動的役割を促進する。

代替策と移行戦略

PFASやマイクロプラスチックのリスクを低減するためには、規制だけでなく、安全な代替品の開発と普及を促進する「移行戦略」が不可欠である。しかし、代替プロセスには技術的・経済的・社会的課題が伴う。

PFAS代替の課題と進展

PFASの代替は、用途によって代替の難易度が大きく異なる。Lohmann et al. (2020)によれば、消費者製品(食品包装、化粧品、衣料など)では比較的代替が進んでいるが、特殊産業用途(半導体製造、消火剤、医療機器など)では代替が困難な「エッセンシャルユース」が多い。

消費者製品における代替の好例として、Bistline-East et al. (2023)は食品包装材の代替進展を分析している。従来のPFAS含有紙・板紙包装材に替わる代替品として、シリコンベースのコーティング、バイオベースの撥水剤、機械的プロセス(カレンダリング処理など)による撥油・撥水性の付与などが実用化されている。特に注目すべきは、スウェーデンのFoodTech企業OrganoClickが開発した「OC-biobinder」のような植物由来の撥水・撥油コーティングで、性能面でPFASに匹敵しつつ生分解性も備えている。

一方、「後悔すべき代替」(regrettable substitution)のリスクも存在する。Cousins et al. (2022)は、長鎖PFASから短鎖PFASへの代替が進んでいる現状に警鐘を鳴らしている。短鎖PFASは長鎖と比較して体内滞留時間は短いが、環境中での移動性が高く、浄水処理での除去が困難という問題がある。また、短鎖PFASの毒性評価も十分ではなく、「毒性データの不足した化学物質への代替」という問題を生じている。

プラスチック代替と循環型アプローチ

マイクロプラスチック問題に対しては、単なる「物質代替」ではなく、より包括的な「システム変革」が求められる。Hahladakis et al. (2020)は、マイクロプラスチック削減アプローチを「上流対策」「中流対策」「下流対策」の3段階で整理している。

上流対策としては、不必要なプラスチック使用の削減(例:使い捨てプラスチック製品の規制)、生分解性プラスチックへの転換、プラスチック製品の耐久性向上などが挙げられる。特に注目を集めているのが、セルロース、キチン、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)などの生分解性バイオプラスチックである。Napper & Thompson (2019)の研究では、海洋環境におけるこれらの生分解性材料の分解速度を比較し、一部の「生分解性」表示製品が実際の海洋環境では数年間分解されずに残存することを示し、素材選択の慎重さを促している。

中流対策としては、廃棄物管理システムの改善(例:拡大生産者責任制度)、リサイクル技術の向上、再利用システムの構築などが含まれる。Ragaert et al. (2022)は、機械的リサイクルと化学的リサイクルを組み合わせた「カスケードリサイクル」システムの可能性を検討し、プラスチックの循環利用率を高める方策を提案している。

下流対策としては、環境中に排出されたマイクロプラスチックの捕捉・除去技術の開発が進められている。Wang et al. (2022)のレビューによれば、浄水処理における活性炭処理、膜ろ過、凝集沈殿などの高度処理技術の組み合わせにより、水中マイクロプラスチックの90%以上を除去できることが示されている。

国際協力の枠組みと課題

環境汚染物質の国際的な管理には、国境を越えた協力が不可欠である。PFASやマイクロプラスチックについても、様々な国際的取り組みが進められているが、その実効性には課題も多い。

PFASの国際的管理フレームワーク

PFASに関する主要な国際的枠組みは、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)である。Wang et al. (2020)によれば、同条約は2009年にPFOSとその塩および関連化合物を、2019年にPFOAとその塩および関連化合物を規制対象に追加した。しかし、多くの適用除外(exemptions)が設けられており、完全な禁止には至っていない。

Kwiatkowski et al. (2022)は、ストックホルム条約の「化合物別アプローチ」(compound-by-compound approach)の限界を指摘している。現在の枠組みでは、新たなPFAS化合物を規制対象に追加するには、その化合物について十分な科学的証拠を集め、条約締約国会議(COP)での合意を得るという時間のかかるプロセスが必要である。このため、規制対象外の代替PFAS(特に短鎖化合物)への「レギュラトリーホッピング」(regulatory hopping)が生じている。

より包括的なアプローチとして注目されているのが、国連環境計画(UNEP)が2023年に提案した「化学物質の包括的なグローバル評価と管理のための科学-政策インターフェース」(Science-Policy Interface for the comprehensive global assessment and management of chemicals)である。Pedersen et al. (2023)によれば、この新たな枠組みは「構造的類似性に基づくグループアプローチ」を採用し、未規制のPFASを含めたより広範な管理を目指している。

プラスチック汚染への国際的対応

マイクロプラスチックを含むプラスチック汚染問題については、2022年3月の国連環境総会(UNEA)で「プラスチック汚染に関する国際法的拘束力のある文書」の策定が決議され、2024年末までの合意を目指して政府間交渉が進行中である。Borrelle et al. (2023)によれば、この「プラスチック条約」(Plastic Treaty)は、プラスチックのライフサイクル全体(設計から廃棄まで)を対象とする包括的な枠組みとなる可能性がある。

交渉過程では、「上流規制」(プラスチック生産量の制限や有害添加物の禁止など)を重視する立場と、「下流対策」(廃棄物管理の改善や回収システムの強化など)を重視する立場の対立が見られる。MacLeod et al. (2022)は、米国、日本、サウジアラビアなどが下流対策を重視する「現状維持派」である一方、EU、カナダ、ペルーなどが上流規制を含む「野心的アプローチ」を支持していると分析している。

特に注目すべき提案として、ルワンダとペルーが共同提案した「プラスチック生産のグローバルキャップ」(global cap on plastic production)がある。Simon et al. (2023)によれば、この提案は世界全体のプラスチック生産量に上限を設定し、「カーボンバジェット」のようなグローバルな割当制度を確立することを目指している。しかし、主要プラスチック生産国からの反対も強く、合意には困難が予想される。

ガバナンスアプローチの革新

従来の規制アプローチの限界を踏まえ、PFASやマイクロプラスチックのような複雑な環境問題に対する新たなガバナンスモデルの模索も進んでいる。

マルチステークホルダー・アプローチの可能性

政府規制だけでなく、産業界、NGO、消費者、科学コミュニティなど多様なステークホルダーが協働する「ガバナンスネットワーク」が注目されている。Sörensen & Boersma (2022)は、このような「ポリセントリック・ガバナンス」(polycentric governance)が複雑な環境問題に対して適応力と革新性を高めると主張している。

成功例として挙げられるのが、米国の「グリーンケミストリーチャレンジ」(Green Chemistry Challenge)である。Tickner et al. (2022)によれば、このプログラムは政府と産業界の協働により、2023年までに170を超えるPFASフリー製品の開発を実現した。特筆すべきは、この取り組みが規制に先行して代替開発を促進する「先導的イノベーション」(anticipatory innovation)の場として機能したことである。

欧州では、「製品環境フットプリント」(Product Environmental Footprint)のような共通評価基準の策定を通じて、企業間の協力と競争を促進する「コレギュレーション」(co-regulation)アプローチが拡大している。Peters & Manshoven (2023)によれば、このアプローチは伝統的な「コマンド・アンド・コントロール」型規制と比較して、技術革新への柔軟性と業界の受容性が高いという利点がある。

革新的政策ツールの開発

従来の「禁止・制限」型規制を超えた革新的政策ツールの開発も進んでいる。Goldenman et al. (2022)は、PFASのような「永続的(persistent)」汚染物質には「永続的(persistent)」政策対応が必要だと主張し、以下のような革新的アプローチを提案している:

  1. 「エッセンシャルユース」フレームワーク:用途ごとの社会的必要性を評価し、代替不可能な用途のみに使用を限定するアプローチ
  2. 「信託基金」メカニズム:生産者から徴収した資金を長期的な環境モニタリングや浄化に充てる仕組み
  3. 「拡大生産者責任」の強化:製品のライフサイクル全体にわたる環境影響に対する責任を生産者に課すアプローチ

マイクロプラスチックについては、「サーキュラーエコノミー」の促進に向けた経済的インセンティブの設計が重要である。Almroth & Eggert (2023)は、プラスチック税、デポジット制度、リペアボーナスなどの経済的手法を組み合わせた「政策パッケージ」の効果を分析している。特に注目すべきは、EUが検討している「循環性指標」(circularity indicators)に基づく税制優遇措置で、製品の修理可能性、リサイクル含有率、分解性などを数値化し、より循環的な製品設計を促進するものである。

今後の展望:科学と政策の接点

PFASやマイクロプラスチックのリスク評価と規制は、科学的知見の蓄積に伴って今後も進化し続けるだろう。最後に、科学-政策インターフェースの強化と将来の規制枠組みの方向性について考察する。

科学-政策インターフェースの強化

科学的知見を効果的に政策に反映させるためには、科学と政策の間の「翻訳」機能を強化する必要がある。Diamond et al. (2021)は、「証拠に基づく政策立案」(evidence-based policymaking)を実現するための「科学-政策ブローカー」(science-policy brokers)の役割の重要性を指摘している。

具体的な取り組みとして注目されるのが、欧州の「科学的アドバイス機構」(Scientific Advice Mechanism)である。Gluckman et al. (2022)によれば、この機構は独立した科学的評価と政策オプションの提示を行い、科学的知見と政策ニーズのギャップを埋める役割を果たしている。

また、「参加型リスク評価」(participatory risk assessment)のような、専門家だけでなく市民の視点も取り入れた評価プロセスも重要である。Cordner et al. (2022)は、マサチューセッツ州のPFAS飲料水基準策定における住民参加プロセスを分析し、市民の関与が「社会的に頑健な」(socially robust)基準値の設定に貢献したと評価している。

将来の規制枠組みの方向性

PFASやマイクロプラスチックの規制は、今後どのような方向に進化していくだろうか。Liboiron et al. (2023)は、現在の「物質中心アプローチ」(substance-centered approach)から「システム思考アプローチ」(systems thinking approach)への移行が必要だと主張している。

具体的には、個別物質の規制ではなく、以下のような包括的アプローチへの移行が予想される:

  1. 「クラスベース規制」(class-based regulation):構造的類似性に基づく物質グループ全体の規制
  2. 「ライフサイクルアプローチ」:製品の設計から廃棄までの全過程を考慮した規制
  3. 「予防的代替評価」(preventive alternatives assessment):新物質導入前の包括的安全性評価

マイクロプラスチックについては、「発生源管理」と「曝露管理」の統合的アプローチが重要である。Rochman & Hoellein (2023)は、「漏れのないプラスチック経済」(leak-proof plastic economy)の実現に向けた段階的移行を提案している。その核心は、プラスチックを「一方通行の素材」(one-way material)から「永続的価値を持つ資源」(resource with perpetual value)へと再定義することである。

最後に強調すべきは、科学的不確実性が残る中での意思決定の重要性である。Warner & Boccaleoni (2023)は、「完全な科学的確実性を待つことなく予防的措置を講じる」という予防原則の適用が、PFASやマイクロプラスチックのような「新興汚染物質」に対して特に重要だと主張している。

結論

PFASやマイクロプラスチックのリスク評価と規制は、科学的、社会的、経済的、倫理的側面が交錯する複雑な課題である。これらの「永続的汚染物質」は従来の化学物質管理の枠組みに新たな挑戦をもたらし、リスク評価手法や規制アプローチの革新を促している。

各国・地域の規制アプローチの差異は、単なる科学的見解の相違ではなく、予防原則と証拠重視のバランス、産業構造と経済的要因、社会的価値観と市民の関与など多様な要因によって形成されている。こうした複雑な状況下で、科学的知見を政策に効果的に反映させるためには、科学-政策インターフェースの強化と多様なステークホルダーの協働が不可欠である。

今後の規制の方向性としては、個別物質アプローチからクラスベースアプローチへの移行、ライフサイクル全体を考慮した包括的規制、予防的代替評価の導入などが予想される。また、「永続的汚染物質には永続的政策対応を」という考え方に基づく長期的視点も重要である。

PFASやマイクロプラスチックのようなグローバルな環境課題に対しては、各国の状況に応じた多様なアプローチを認めつつも、国際的な協力と調和の枠組みを強化していくことが、持続可能な未来への道筋となるだろう。

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