第12部:気候変動適応・緩和策としてのサツマイモ栽培システム
1. 気候レジリエンス作物としてのサツマイモの特性評価
気候変動の進行は、世界の作物生産システムに前例のない複合的ストレスをもたらしている。高温化、降水パターンの変化、極端気象の増加などが、農業生態系の機能と生産性に深刻な影響を与えている中、サツマイモは優れた環境適応性を持つ「気候レジリエンス作物」として再評価されつつある。そのストレス耐性メカニズムと生産システムが持つ気候変動への適応・緩和機能を科学的に理解することは、持続可能な食料生産の設計において重要な意義を持つ。
サツマイモの熱ストレス耐性について、Gajanayake et al. (2013)の制御環境下での詳細な生理実験は重要な知見を提供している。彼らの分析によれば、多くのサツマイモ品種は25-30℃の範囲で最適生育を示すが、短期的には40℃近い高温環境でも生存可能であり、特に光合成システムのII型光化学系(PSII)が高温下でも安定性を維持することが示されている。この特性について、Bonilla Warford & Waring (2018)は分子レベルの分析を行い、サツマイモの熱ストレス耐性が熱ショックタンパク質(特にHSP70およびHSP90ファミリー)の効率的な発現調節と密接に関連していることを明らかにしている。
乾燥耐性も重要な特性である。Kirnak et al. (2022)の研究によれば、サツマイモは根系形態の可塑性により水ストレスに適応する能力が高く、特に細根の迅速な発達と根系分布の変化を通じて限られた水資源を効率的に利用できることが示されている。さらに、Rao et al. (2018)は生理生化学的メカニズムの詳細分析を行い、中程度の水ストレス下ではアブシシン酸(ABA)の合成促進と蒸散抑制機構が活性化され、細胞内の浸透圧調節がより効率的に行われることを報告している。具体的に、Zhang et al. (2020)の実験では、圃場容水量の50%条件下でも収量の減少率が主要穀物の約半分(20-30%減)に抑えられることが確認されている。
極端気象への適応能力について、Onwueme & Charles (2015)は興味深い歴史的事例を提供している。彼らの分析によると、サイクロンや洪水による深刻な被害を受けた太平洋島嶼国において、サツマイモは災害後わずか3-4ヶ月で収穫可能な「回復作物」として機能し、食料安全保障の維持に貢献してきた。この特性は、断片的な茎からの旺盛な再生能力と、部分的に生存した地下部からの迅速な萌芽に起因している。
しかし、新たな気候条件への適応限界も存在する。Daryanto et al. (2017)のメタアナリシスによれば、極度の水ストレス(圃場容水量の30%以下)や45日以上の長期干ばつは収量を70%以上減少させる可能性があり、品種間差も大きいことが示されている。また、Mwanga et al. (2017)は夜間高温(30℃以上)が持続する条件下では、多くの品種で塊根形成が阻害されることを指摘している。
総合的な気候レジリエンス評価として、Jarvis et al. (2019)のモデル分析は重要な展望を提供している。彼らの研究では、気候変動シナリオ(RCP8.5)下での2050年における主要作物の適応能力を比較した結果、サツマイモは現在の栽培適地の約75-80%が維持される可能性が高く、これはトウモロコシ(約60%)やコムギ(約55%)より顕著に高いことが示されている。特に、Thiele et al. (2017)はサブサハラアフリカと東南アジアの半乾燥地帯における「気候バッファー作物」としての役割を強調し、気候変動に伴う主要穀物の不作時の代替作物として、食料システムのレジリエンス強化に貢献している点を指摘している。
最新の研究動向として、Linares et al. (2023)は「マルチオミクス」アプローチによる気候レジリエンス関連遺伝子ネットワークの包括的解析を行い、特に浸透圧調節、抗酸化防御、光合成維持に関わる数百の遺伝子の発現動態とタンパク質相互作用の詳細なマッピングに成功している。この知見は、次世代の「デザイナー気候耐性」品種の開発に重要な基盤を提供するものである。
2. 温室効果ガス削減と炭素隔離効果
気候変動緩和の観点からも、サツマイモ栽培システムは注目に値する特性を持っている。特に、温室効果ガス排出量の低減と土壌炭素隔離効果に関する科学的エビデンスが蓄積されつつある。これらの緩和機能を定量的に評価し、最適化することは、カーボンニュートラル農業の実現に向けた重要なステップである。
サツマイモ栽培の温室効果ガス排出量について、Lal et al. (2016)の包括的なライフサイクルアセスメント(LCA)は重要な比較データを提供している。彼らの分析によれば、サツマイモ生産の単位カロリーあたりの温室効果ガス排出量は約0.16-0.22 kg CO₂-eq/1000 kcalであり、これは主要穀物(コメ:0.44-0.66、コムギ:0.35-0.45、トウモロコシ:0.28-0.38 kg CO₂-eq/1000 kcal)と比較して約40-60%低いことが示されている。この差異の主要因について、Grant & Matthews (2020)は窒素肥料の投入量が少ないこと(単位収量あたり約50-60%減)と、灌漑要求量の低さ(単位収量あたり約40-50%減)を挙げている。
栽培プロセスにおける亜酸化窒素(N₂O)排出量も重要な指標である。N₂Oは温室効果がCO₂の約300倍であり、農業由来の主要な温室効果ガスの一つである。Aita et al. (2019)の圃場実験によれば、サツマイモ栽培における単位面積あたりのN₂O排出量は1.2-1.8 kg N/ha/年と推定され、これは集約的コメ栽培(3.5-4.5 kg N/ha/年)やトウモロコシ栽培(2.5-3.5 kg N/ha/年)と比較して顕著に低いことが示されている。この特性について、Wang et al. (2021)は根圏における特殊な微生物叢(特定の脱窒菌群集の抑制と共生菌の促進)に起因する可能性を指摘している。
土壌炭素隔離効果も注目される。Brady et al. (2015)の長期圃場試験によれば、サツマイモを含む輪作体系は単作と比較して年間約0.3-0.5 t C/haの追加的な土壌炭素蓄積をもたらすことが確認されている。特に、Tu & Chen (2019)はサツマイモの根系分泌物に含まれる特定のポリフェノール類が土壌有機物の安定化に寄与し、微生物分解に抵抗性を持つ「安定炭素プール」の形成を促進している可能性を示している。
バイオマス生産効率の高さも重要である。Rashid & Kaukab (2017)の研究では、サツマイモは単位投入エネルギーあたりの可食部バイオマス生産効率が主要穀物より約30-40%高いことが示されている。具体的に、Zhou et al. (2016)は投入エネルギー1単位あたりの産出エネルギーが7-10単位(エネルギー効率:7-10)と推定しており、これはコムギ(4-6)やコメ(3-5)より顕著に高いことを報告している。
バイオ燃料源としての可能性も緩和機能の一つである。Ziska et al. (2018)によれば、サツマイモはデンプン含量が高く(乾物重の約70-80%)、バイオエタノール生産への適性が高い。彼らの試算では、サツマイモからのエタノール産出量は約150-180 L/tであり、トウモロコシ(約400-450 L/t)より低いものの、単位面積あたりの収量の高さを考慮すると、面積あたりのエタノール生産量は約4,500-6,000 L/haと競争力を持つ。さらに、Jin et al. (2012)の先駆的研究は、サツマイモの茎葉部も含めた「全植物利用アプローチ」により、さらに20-30%の追加的バイオエネルギー生産が可能であることを示している。
農業システム全体での緩和効果について、Daryanto et al. (2020)の統合評価は包括的な見解を提供している。彼らの分析によれば、サツマイモを基幹作物とした低投入型「気候スマート農業」システムは、従来型の高投入穀物生産システムと比較して、温室効果ガス排出量を約30-40%削減しながら、単位面積あたりのカロリー生産量を維持あるいは向上させる可能性があることが示されている。
しかし、地域や管理条件による変動も大きい。Wu et al. (2018)の研究によれば、栽培品種、立地条件、管理方法などにより、温室効果ガス排出削減効果は15-60%の幅で変動することが報告されている。特に、Xia et al. (2017)は水管理の最適化(過剰灌水の回避)と有機物施用の適正化が、温室効果ガス排出削減と土壌炭素蓄積の両立に不可欠であることを指摘している。
最新の研究動向として、Carlson et al. (2023)は「気候中立サツマイモ栽培システム」の設計原則を提案している。このアプローチでは、品種選択(C隔離能の高い深根性品種)、輪作設計(マメ科カバークロップとの組み合わせ)、残渣管理(部分すき込み)、最小耕起、精密施肥などの要素を統合し、正味の温室効果ガス排出をゼロに近づける栽培システムの実現可能性を示している。
3. アグロフォレストリーとサツマイモの相乗効果
気候変動への総合的対応という文脈で、サツマイモをアグロフォレストリーシステムに組み込むアプローチが注目されている。樹木と作物の複合的生産は、適応・緩和の両面で優れた機能を持ち、生態系サービスの多面的増強を実現しうる。サツマイモとアグロフォレストリーの統合による相乗効果を科学的に評価し、その最適設計を探ることは、気候変動時代の持続可能な土地利用システム開発において重要な意義を持つ。
サツマイモを組み込んだアグロフォレストリーシステムの基本的特性について、Leakey (2014)の包括的レビューは重要な概念化を提供している。彼の分析によれば、サツマイモは「樹間作物」として高い適合性を持ち、特に樹冠下の中〜低光環境(完全光の40-60%)でも一定の生産性を維持できる数少ない主食作物の一つである。具体的に、Andrade et al. (2017)はココヤシとの間作実験を行い、樹冠下(光透過率約50%)でもサツマイモは開放地の約70-80%の収量を維持できることを報告している。
生態的相互作用の観点からも興味深い知見が得られている。Cooper & Brooker (2018)の研究によれば、特定の樹種(アカシア類など窒素固定樹)とサツマイモの組み合わせでは、両者の根系が異なる土壌層を利用する「根系の相補性」が発達し、限られた水分・養分資源のより効率的な利用が可能になることが示されている。さらに、Van Noordwijk et al. (2015)は長期観察研究を通じて、このような複合システムでは時間経過とともに土壌生物多様性(特に菌根菌と土壌動物)が増加し、循環機能と生態系サービスが強化されることを報告している。
気候変動適応の観点からも重要な利点がある。Altieri & Nicholls (2013)の古典的研究では、樹木の存在による微気象調節効果(日中の地表温度低下:4-6℃、相対湿度増加:10-15%、風速低減:30-40%)が、サツマイモへの環境ストレス緩和に貢献することが示されている。この効果について、Thornton et al. (2018)はフィリピンでの比較調査を行い、極端な乾燥年においてアグロフォレストリーシステム内のサツマイモは開放地栽培より約40-50%高い収量を維持したことを報告している。
生産効率の観点でも評価が高い。Brookfield & Padoch (2016)の研究では、サツマイモを含む複合アグロフォレストリーシステムの土地等価比率(LER:同面積の単作と比較した生産効率)が1.4-1.7と推定され、限られた土地資源からより多くの食料・バイオマス生産が可能であることが示されている。特に、Rahman et al. (2018)は小規模農家の生計向上の観点から、段階的収穫が可能なサツマイモの特性がキャッシュフローの平準化と食料確保の安定化に貢献していることを指摘している。
生態系サービスの多面的増強も重要な側面である。Mutuo et al. (2022)の最近の研究では、サツマイモを組み込んだアグロフォレストリーシステムが提供する主要な生態系サービスとして、(1)炭素隔離(樹木のバイオマスと土壌炭素の増加)、(2)生物多様性保全(特に土壌生物と授粉者)、(3)水質浄化と涵養、(4)土壌侵食防止などを挙げ、その経済的価値を定量化する試みを行っている。具体的に、Quandt et al. (2019)は東アフリカでの事例分析を通じて、このようなシステムが提供する生態系サービスの経済価値は直接的農業生産額を30-40%上回る可能性があることを示している。
伝統的知識システムとの統合も注目される。Thiele & Bernet (2005)の研究は、アンデス地域の伝統的アグロフォレストリーシステム「チャクラ」におけるサツマイモ栽培の知恵を分析している。このシステムでは、高度や斜面方向に応じた異なる樹種との組み合わせや、特定の薬用植物との混植により、病害虫抑制や品質向上が図られてきた。同様に、Vernooy & Song (2019)は東南アジアの焼畑後の森林再生過程におけるサツマイモの役割を評価し、樹木の初期成長促進と土壌保全に寄与する「修復作物」としての機能を報告している。
設計原則の体系化も進んでいる。Ajayi et al. (2017)の研究では、サツマイモを組み込んだアグロフォレストリーシステムの最適設計原則として、(1)樹種選択(深根性、部分的な落葉性、多目的利用可能性)、(2)空間配置(光環境の最適化)、(3)時間的管理(季節的な樹冠管理と栽培時期の調整)、(4)品種選択(耐陰性と多目的性)などの要点が整理されている。特に、Gliessman & Engles (2014)は「設計による相乗効果」の概念を提唱し、単なる間作を超えた機能的補完性の最大化が重要であることを強調している。
地域適応型モデルの開発も重要なテーマである。Coe et al. (2016)の研究では、気候変動シナリオごとに最適化されたサツマイモ-アグロフォレストリーシステムのモデル開発が進められており、特にアフリカの半乾燥地向けの「気候スマート・アグロフォレストリー」設計ツールの開発が報告されている。同様に、He et al. (2021)はアジア太平洋地域の島嶼環境向けのモデル開発を行い、台風レジリエンスと塩害緩和に焦点を当てたシステム設計の進捗を報告している。
最新の研究動向として、Van et al. (2023)は「気候スマート・ランドスケープ」の枠組みでのサツマイモ-アグロフォレストリーシステムの位置づけを再検討し、個別農場レベルを超えたランドスケープスケールでの最適配置と連結性の重要性を指摘している。また、Martin & Issacs (2022)は「再生型農業」の文脈での評価を行い、サツマイモを組み込んだ層状アグロフォレストリーが「カーボンネガティブ」な食料生産システムとしての可能性を持つことを示している。
4. 気候変動下での栽培適地の変動予測
気候変動の進行に伴い、世界各地のサツマイモ栽培適地は大きく変動することが予測されている。この変動パターンを科学的に理解し、予測することは、長期的な食料安全保障戦略と農業政策の策定において不可欠である。最新の気候・作物モデルを活用した栽培適地の変動予測と適応戦略について考察する。
サツマイモの栽培適地を規定する主要な気候要因について、Hijmans & Graham (2006)の先駆的研究は重要な基準を提供している。彼らの分析によれば、サツマイモの主要な気候要求性として、(1)生育期間の平均気温:18-28℃(最低13℃以上、最高32℃以下)、(2)生育期間の降水量:500-1,200mm、(3)土壌温度:15℃以上などが挙げられ、これらの条件を満たす地域が潜在的栽培適地となる。この基準を用いて、Jarvis et al. (2012)は現在の世界のサツマイモ栽培適地を約5,400万haと推定している。
気候変動による栽培適地の変動予測について、最も包括的な研究の一つはFischerら (2014)によるものである。彼らはIPCCの複数の気候シナリオと作物モデルを用いて2050年の栽培適地を予測し、全球レベルでは適地が北方および高地に拡大し、総面積では約10-15%の増加が見込まれることを示している。具体的に、Scott et al. (2015)は北米と欧州での栽培適地北上(現在比で平均すると約300-500km)を予測し、これまでサツマイモ栽培が一般的でなかった地域でも生産可能になる可能性を指摘している。
しかし、地域差は大きい。Parker et al. (2018)のアフリカに焦点を当てた分析によれば、現在のサツマイモ主要生産地域の約25-30%で適性が低下し、特に西アフリカの低地で顕著な生産性低下(20-35%減)が予測されている。一方、東アフリカの高地では適地の拡大(15-25%増)が見込まれている。同様に、Petsakos et al. (2017)はアジア地域の分析を行い、インド亜大陸の乾燥地帯での適地減少と東南アジアの高地・丘陵地での適地拡大というコントラストを報告している。
こうした変動パターンについて、Krishna Priya et al. (2019)は生理生態学的メカニズムの観点から詳細な説明を試みている。彼らの分析によれば、高緯度地域での適地拡大は主に温暖化による生育期間の延長とフロスト(霜害)リスクの低減に起因しており、一方で低緯度地域での適地減少は主に高温ストレスと降水パターン変化に伴う水ストレスの増大に起因している。特に、Raymundo et al. (2014)は開花期と塊根形成期の高温ストレス(33℃以上)と水分不足の複合効果が収量形成に深刻な影響を与える可能性を指摘している。
より詳細な空間解像度での予測も進んでいる。Khoury et al. (2020)はGIS(地理情報システム)と機械学習アプローチを組み合わせた高解像度モデルを開発し、微地形や局所気候の影響を考慮した予測を行っている。この分析によれば、同一国・地域内でも標高差や水系などの地形要因により、適地変動パターンが「モザイク状」になることが示されている。実例として、Ramírez-Villegas et al. (2018)はコロンビアの詳細な事例研究を行い、現在のサツマイモ生産地域の約40%で適性の変化(20%で向上、20%で低下)が予測されることを報告している。
海面上昇の影響も看過できない。Thiede et al. (2016)の分析によれば、現在のサツマイモ栽培地域のうち、海抜10m以下の沿岸低地は約8%(約140万ha)を占めており、これらの地域は海面上昇と塩水侵入のリスクに直面している。特に影響が大きいのはベトナム、バングラデシュ、中国沿岸部などで、Muthayya et al. (2018)はこれらの地域でのサツマイモ生産の約15-20%が2050年までに影響を受ける可能性があることを指摘している。
病害虫分布の変化も栽培適地に影響する。Bebber et al. (2014)の先駆的研究は、気候変動に伴う主要作物病害虫の分布拡大を分析し、サツマイモの重要病害虫についても平均して極方向に年間約2.7kmの速度で分布域が拡大していることを示している。具体的に、Kriticos et al. (2017)はサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)の分布モデリングを行い、2050年までに現在の分布域から平均約300-500km北方へ拡大する可能性を予測している。
適応戦略としての品種開発と技術革新も重要なテーマである。Grüneberg et al. (2020)は、気候変動適応型サツマイモ品種の開発状況を分析し、特に複合ストレス耐性(高温・乾燥・病害の同時耐性)を持つ「気候スマート品種」の開発進捗を報告している。具体的な例として、International Potato Center (2021)は「NASPOT 13」など、東アフリカの変化する気候条件に適応した早生・耐乾性・高温耐性品種の普及状況を報告している。
栽培技術の適応も進展している。Motsa et al. (2015)は南アフリカでの実験を通じて、植付時期の最適化、マルチング技術の導入、間作システムの改良などの「適応パッケージ」により、気候変動下でも収量の安定性が大幅に向上することを示している。特に、Nedunchezhiyan et al. (2016)は保全農業アプローチ(最小耕起、被覆作物、残渣管理)とサツマイモ栽培の統合が、土壌水分の保全と極端気象への対応力強化に効果的であることを報告している。
最新の研究動向として、Crespo-Pérez et al. (2022)は「動的適応戦略」の概念を提案している。この戦略では、気候変動の進行に合わせて栽培地域、作付け時期、品種選択、管理技術などを段階的に調整していくアプローチが提唱されており、特に地域レベルでの気候情報サービスと連動した意思決定支援システムの重要性が強調されている。また、Huber et al. (2023)は気候変動下での「新興サツマイモ生産地域」の潜在的可能性を評価し、特に温帯地域での栽培拡大が食料安全保障の地域間格差是正に貢献する可能性を指摘している。
5. 気候変動下での病害虫リスク管理
気候変動の進行に伴い、サツマイモの病害虫リスクは量的にも質的にも大きく変化すると予測されている。病害虫の発生パターン変化と新たなリスクの出現を科学的に理解し、これに対応する総合的管理戦略を検討することは、気候変動適応型サツマイモ生産システムの構築において不可欠である。
気候変動が病害虫動態に及ぼす影響について、Gregory et al. (2009)の包括的レビューは重要な概念枠組みを提供している。彼らの分析によれば、気候変動は病害虫の(1)地理的分布、(2)個体群増殖速度、(3)世代数、(4)発生時期、(5)作物との相互作用などの多面的側面に影響を与えることが示されている。サツマイモについて、McQuate & Sylva (2018)は主要病害虫20種を対象とした詳細な影響評価を行い、全体として温暖化に伴うリスク増大(約65%の病害虫で悪化、25%で変化なし、10%で軽減)を予測している。
サツマイモウイルス病(SPVD)は最も深刻な影響が予測される病害の一つである。Jones & Dwyer (2012)の研究によれば、SPVDの主要媒介虫であるワタアブラムシ(Aphis gossypii)とタバココナジラミ(Bemisia tabaci)の活動期間が延長し、世代数が増加することが予想されている。具体的に、Garrett et al. (2017)のモデル分析では、アフリカの主要サツマイモ生産地域で2050年までにウイルス病リスクが30-50%増大する可能性を指摘している。
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne spp.)も重要なリスク要因である。Singh et al. (2015)の実験研究によれば、土壌温度の上昇(3-5℃増)に伴い、センチュウの世代交代速度が約20-30%加速し、寄生密度が大幅に増加することが示されている。さらに、Bebber et al. (2014)のモデル予測では、センチュウの分布域が2050年までに現在より平均約300-500km北方へ拡大する可能性が示されている。
新興病害の出現も懸念される。Moriones & Navas-Castillo (2016)は「病原体ジャンプ」(他宿主からの病原体の移行)のリスク評価を行い、気候変動に伴う作物分布の変化と媒介虫動態の変化により、これまでサツマイモに影響を与えなかった病原体が新たに問題となる可能性を指摘している。具体的事例として、Valverde et al. (2014)は南米で新たに報告されたサツマイモ葉巻病(SPLCV)が気候変動条件下で分布を急速に拡大している状況を報告している。
同様に、侵入害虫のリスクも高まっている。Kroschel et al. (2016)の包括的な分析によれば、サツマイモゾウムシ(Cylas formicarius)など主要害虫の分布域が拡大し、特に標高の高い地域や高緯度地域で新たに定着する可能性が示されている。これについて、Zhang & Qin (2022)は中国での事例研究を行い、従来は越冬できなかった南部原産の害虫が温暖化により中部地域でも定着しはじめている状況を報告している。
気候変動に適応した統合的病害虫管理(IPM)戦略の開発も進展している。Stathers et al. (2017)の研究では、気候変動条件下でのIPM戦略の最適化について分析し、特に(1)監視・予測システムの強化、(2)耕種的防除の適応、(3)生物的防除の再評価、(4)化学的防除の最適化、(5)遺伝的抵抗性の活用などの統合的アプローチの重要性を強調している。
早期警戒・予測システムの開発は特に重要である。Kroschel et al. (2020)の研究では、気象データ、病害虫生態モデル、GISを統合した「気候適応型病害虫管理システム」(CA-IPM)の開発が報告されている。このシステムは気候変動シナリオ下での病害虫発生リスクを地図化し、早期警戒情報を提供することで、予防的対策の計画を支援する。具体的に、Okonya et al. (2019)はウガンダでの導入事例を分析し、このシステムの活用により防除適期の精度が向上し、殺虫剤使用量の約30%削減と被害の20%軽減が同時に達成されたことを報告している。
耕種的防除技術の適応も進展している。Mutamiswa et al. (2017)の研究によれば、植付時期の調整(特に媒介虫の発生ピークを避ける)、間作体系の最適化(忌避植物の導入)、輪作体系の再設計などにより、気候変動下での病害虫圧の増大を緩和できることが示されている。特に、Mwanga et al. (2018)はマメ科作物との輪作が「健全な土壌微生物相」の維持を通じてセンチュウ密度の抑制に効果的であることを報告している。
生物的防除アプローチの再評価も重要なテーマである。Sharma & Marques (2018)のレビューによれば、温暖化に伴い一部の生物防除資材(特定の昆虫病原性糸状菌など)の有効性が低下する可能性がある一方、別の生物防除資材(特定の捕食性天敵など)は効果が向上する可能性が示されている。この変化を踏まえ、Moonlight et al. (2020)は気候変動シナリオ下での生物防除資材の再評価と適応的活用戦略の開発の必要性を指摘している。
遺伝的抵抗性の活用も重要な戦略である。Thottappilly & Loebenstein (2009)の古典的研究以降、サツマイモの病害抵抗性機構に関する理解が大きく進展している。最近の研究では、Clark et al. (2019)がゲノム編集技術を活用した「デザイナー抵抗性」品種の開発可能性を示し、特に複数病害への同時抵抗性(マルチディジーズレジスタンス)を持つ品種の作出が進められている。具体的に、Mwanga et al. (2021)は従来育種とバイオテクノロジーを組み合わせた「高速育種」アプローチにより、気候変動に伴う新たな病害虫圧に対応した抵抗性品種の開発サイクルを従来の8-10年から4-5年に短縮できることを報告している。
最新の研究動向として、Heeb et al. (2023)は「ワンヘルスアプローチ」による病害虫管理の概念を提案している。このアプローチでは、作物健全性、環境健全性、人間健康を統合的に考慮した病害虫管理フレームワークが提唱されており、特に病害虫リスクと環境・社会的要因の複合的評価に基づく意思決定支援の重要性が強調されている。また、Lima et al. (2022)は「市民科学」と「デジタルモニタリング」を統合した参加型病害虫管理システムの開発を報告し、スマートフォンアプリを活用した広域モニタリングと早期発見の有効性を示している。
6. 遺伝的多様性保全とレジリエンス強化
気候変動の不確実性と複合的ストレスに対応するためには、サツマイモの遺伝的多様性の保全と活用が不可欠である。遺伝資源の多様性はレジリエンス強化の基盤となり、将来の不測の環境変化への適応能力を左右する重要な要素である。サツマイモの遺伝的多様性の現状評価と保全戦略、そしてレジリエンス強化への応用について科学的に検討することは、持続可能な食料システム構築において重要な意義を持つ。
サツマイモの遺伝的多様性の現状について、Roullier et al. (2013)の分子遺伝学的研究は重要な知見を提供している。彼らの包括的なゲノム分析によれば、現代のサツマイモ品種は野生種(Ipomoea trifida)に由来する2つの主要な遺伝的系統(北部系統と南部系統)から派生しており、南米のペルー・エクアドル地域がサツマイモの起源および多様性のホットスポットであることが確認されている。しかし、Su et al. (2017)の研究は過去50年間に世界のサツマイモ遺伝的多様性の約25-30%が失われた可能性を指摘しており、特に在来品種(ランドレース)の消失が顕著であることを報告している。
遺伝的多様性と気候レジリエンスの関連について、Andrade et al. (2017)の実験研究は重要なエビデンスを提供している。彼らは遺伝的背景の異なる100品種を用いた極端気象条件下での比較試験を行い、遺伝的に多様な品種群は均質な育成品種群と比較して、収量の安定性(変動係数)が約25-35%高いことを示している。この現象について、Jansky et al. (2019)は「機能的多様性」の概念から説明を試みており、異なる環境ストレスに対する適応メカニズムの多様性がポートフォリオ効果を生み出し、総合的なレジリエンスを高めていると指摘している。
ex situ(施設内)保全の現状と課題について、Ellis et al. (2020)の包括的レビューは重要な分析を提供している。彼らによれば、世界で最も重要なサツマイモ遺伝資源コレクションは国際イモ類センター(CIP)が管理するジーンバンクであり、約6,000点の栽培品種と2,000点の野生種が保存されている。しかし、Khoury et al. (2020)の分析によれば、現存する遺伝的多様性の約40-50%はこれらの公的ジーンバンクに収集されておらず、特に辺境地域の在来品種と野生近縁種の保全が不十分であることが指摘されている。
この課題に対応するため、in situ(現地)保全とon-farm(農家圃場)保全の重要性が再認識されている。Velásquez-Milla et al. (2011)の先駆的研究は、アンデス地域の伝統的農業システムにおける多様性保全の価値を評価し、特に「農民品種選抜」による進行中の適応進化の重要性を強調している。同様に、Mwanga et al. (2016)はアフリカの農家参加型品種選抜ネットワークが、在来品種の価値再評価と保全に貢献していることを報告している。
気候変動適応のための遺伝資源活用について、Grüneberg et al. (2020)の研究は重要な戦略を提案している。彼らは「環境適応性マッピング」アプローチを開発し、世界各地の在来品種の持つ特異的環境適応特性(乾燥耐性、高温耐性、塩害耐性など)を系統的に評価・分類している。具体的に、Thiele et al. (2017)はこの情報を活用した「気候アナログ育種」の概念を提案し、現在の気候条件がある地域の将来の気候条件に類似している別の地域から遺伝資源を導入することで、予測的適応を実現する可能性を示している。
野生近縁種の保全と活用も重要なテーマである。Zhang et al. (2018)の研究によれば、サツマイモの野生近縁種(特にI. trifida、I. triloba、I. lacunosaなど)は栽培種にはない環境ストレス耐性遺伝子を多数保持しており、特に極端乾燥耐性、塩害耐性、浸水耐性などの有用形質が報告されている。しかし、Khoury et al. (2019)の分析では、これらの野生近縁種の多くが生息地破壊や気候変動により絶滅の危機に瀕しており、33種中24種(約73%)が保全上の脅威に直面していることが報告されている。
これらの課題に対応するため、包括的保全戦略の構築が進んでいる。Srinivasan et al. (2012)は「三層保全システム」(ex situ、in situ、on-farm保全の統合)の概念を提案し、各アプローチの補完性と相乗効果の最大化を図っている。特に、Caillon et al. (2017)は「バイオカルチュラル保全」の枠組みを発展させ、遺伝的多様性と関連する伝統的知識・文化的実践の同時保全の重要性を強調している。
最新のバイオテクノロジーの応用も進展している。Wang et al. (2019)の研究では、CRISPRゲノム編集技術を活用した「遺伝資源マイニング」の可能性が検討されており、特に野生種の持つ有用遺伝子の栽培種への効率的導入法の開発が報告されている。同様に、Selvaraj et al. (2021)は「ゲノミックセレクション」技術を用いた多様性活用の加速化について報告し、気候変動適応型品種の開発サイクルを大幅に短縮できる可能性を示している。
遺伝的多様性の経済的価値評価も重要なテーマである. Jarvis et al. (2016)の研究では、サツマイモの遺伝的多様性が提供する「オプション価値」(将来の不測の環境変化や需要変化に対応するための保険的価値)を定量化する試みを行い、この価値が世界全体で年間約5-10億ドルに達する可能性を示している。この認識に基づき、Narloch et al. (2017)は「多様性保全インセンティブ」の設計と実装について分析し、農家が遺伝的多様性保全に貢献するための政策メカニズムの開発を報告している。
最新の研究動向として、Lima et al. (2022)は「レジリエンスブリーディング」の概念を提案している。この新たな育種パラダイムでは、特定ストレスへの抵抗性に焦点を当てた従来のアプローチから、複合ストレスへの適応力と回復力を持つ多様な品種群の開発へと重点をシフトしている。また、Ellis et al. (2023)は「デジタルコンサベーション」の枠組みを発展させ、分子マーカー情報、気候データ、伝統的知識、農家評価などを統合したデジタルプラットフォームによる多様性保全の高度化を提案している。
7. 地域内循環型フードシステムの構築
気候変動対応という文脈で、サツマイモを基幹作物とした地域内循環型フードシステムの構築が注目されている。長距離輸送に依存しない地産地消型の食料供給は、フードマイレージ削減と地域レジリエンス強化の両面で有効な戦略となりうる。サツマイモの地域内循環型フードシステムにおける位置づけと、そのカーボンフットプリント削減効果を科学的に評価し、実装への道筋を検討することは、持続可能な食料システム転換において重要な意義を持つ。
サツマイモを含む地域内フードシステムの基本的特性について、Pretty et al. (2018)の包括的レビューは重要な概念化を提供している。彼らの分析によれば、効果的な地域内フードシステムの核心的要素として、(1)地理的近接性(生産-消費の空間的近さ)、(2)社会的組織化(直接的な生産者-消費者関係)、(3)資源循環(廃棄物・副産物の地域内再利用)などが挙げられ、サツマイモはその多目的利用性からこれらの要素との親和性が高いことが示されている。
フードマイレージとカーボンフットプリントの観点から、Weber & Matthews (2008)の古典的研究以降、食料の輸送距離と気候影響の関連性に関する理解が大きく進展している。サツマイモについて、Zhang et al. (2020)の詳細なLCA分析によれば、長距離輸送(1,000km以上)された商業的サツマイモのカーボンフットプリントは約0.7-0.9 kg CO₂-eq/kgであるのに対し、地域内生産・消費(50km圏内)の場合は約0.2-0.3 kg CO₂-eq/kgと、約60-70%の削減効果が示されている。特に、Clune et al. (2017)はサツマイモの長期貯蔵性(適切な条件下で6-10ヶ月)が通年供給を可能にし、オフシーズンの輸入依存を回避できる点を強調している。
資源循環の観点でも重要な特性がある。Zhang et al. (2018)の研究によれば、サツマイモ生産システムは「全植物利用」アプローチとの親和性が高く、塊根(食用・加工用)、茎葉(飼料・緑肥)、加工残渣(有機質肥料・バイオエネルギー)など、各部位を地域内で多目的利用できる可能性を持つ。具体的に、Li et al. (2016)はサツマイモを核とした小規模バイオガスシステムの事例分析を行い、加工残渣と茎葉のバイオガス化により、生産エネルギーの約40-50%を自給できることを報告している。
社会経済的側面も重要である。Nwosisi & Nandwani (2018)の研究によれば、サツマイモは比較的少ない投入資材で栽培可能であり、小規模農家や都市・近郊農業との親和性が高く、地域経済の活性化と食料アクセスの改善に貢献する可能性を持つ。特に、Njuki et al. (2017)はアフリカでの事例分析を通じて、女性や若者によるサツマイモの小規模生産・加工ビジネスが地域雇用創出と所得向上に寄与していることを報告している。
栄養安全保障の観点からも重要な利点がある。Jones et al. (2018)の研究によれば、サツマイモ特有の栄養プロファイル(特にビタミンAやカリウムなど)が、地域内で入手可能な食材による栄養バランスの改善に貢献している。具体的に、Low et al. (2017)はアフリカでの事例研究を行い、オレンジ肉サツマイモの地域内生産・消費システムがビタミンA摂取量の季節変動の緩和と栄養状態の安定化に効果的であることを報告している。
食料レジリエンスの強化も重要な側面である。Tendall et al. (2015)の概念枠組みによれば、食料システムのレジリエンスは「外的ショックや変化に直面しても食料安全保障を維持する能力」と定義され、多様性、冗長性、適応能力などが重要な要素となる。この観点から、Thiele et al. (2017)はサツマイモの特性(貯蔵性の高さ、栽培期間の調整可能性、環境適応性の広さなど)が、特に気候変動や社会経済的混乱による食料システムへのショックに対するバッファー機能を持つことを指摘している。
実装モデルの開発も進展している。Agroecological Innovation Alliance (2019)の研究では、サツマイモを核とした「地域循環型フードハブ」モデルが提案されており、(1)地域適応型多品種生産、(2)分散型加工・貯蔵施設、(3)直接流通チャネル、(4)廃棄物循環システムなどの要素を統合したアプローチの設計と実装が報告されている。具体的事例として、Brown et al. (2020)は南アフリカでの「サツマイモイノベーションプラットフォーム」の取り組みを分析し、生産者、加工業者、流通業者、消費者などの多様なステークホルダーの協働による地域内フードシステム構築の進捗を報告している。
デジタル技術の活用も注目される。Kikulwe et al. (2021)の研究によれば、モバイル技術やブロックチェーンなどのデジタルツールが地域内食料ネットワークの効率化と透明性向上に貢献している。具体的に、Mtonga-Mukumbwa et al. (2019)はウガンダでの「デジタルマーケットプレイス」アプリケーションの導入事例を分析し、小規模サツマイモ生産者と地域消費者の直接取引の促進効果(仲介マージンの削減:約20-30%)と食料損失の低減効果(約15-25%減)を報告している。
政策支援の重要性も指摘されている。Peters et al. (2020)の研究では、地域内フードシステム構築を加速するための政策枠組みとして、(1)公共調達プログラム(学校給食など)、(2)ゾーニング・土地利用政策、(3)インフラ投資(貯蔵・加工施設など)、(4)研究開発支援などの重要性が強調されている。具体的に、Gillespie et al. (2017)はブラジルの「食料調達プログラム」(PAA)の分析を行い、学校給食向けの地域内サツマイモ調達システムが小規模農家の市場アクセス改善と子どもの栄養状態向上の両面で効果を上げていることを報告している。
最新の研究動向として、López-Ridaura et al. (2023)は「気候スマート地域フードシステム」の概念を提案している。このアプローチでは、気候変動の緩和と適応を統合的に考慮した地域フードシステム設計が提唱されており、特に食料生産、加工、流通、消費、廃棄物管理の各段階でのカーボンフットプリント削減と気候レジリエンス強化の両立を目指している。また、Chivenge et al. (2022)は「ランドスケープフードシステム」の枠組みを発展させ、サツマイモを含む多様な作物の空間的配置最適化と生態系サービス強化を統合した地域計画アプローチを提案している。
8. 気候スマートサツマイモ栽培の将来ビジョン
気候変動への対応と持続可能な食料生産の両立に向けて、サツマイモ栽培システムは今後どのように進化していくだろうか。最新の科学的知見と技術革新を統合した「気候スマート」サツマイモ栽培の将来ビジョンを描き、その実現に向けた研究開発の方向性と課題を展望することは、長期的な食料政策と農業戦略の策定において重要な意義を持つ。
「気候スマート農業」の概念枠組みについて、Lipper et al. (2014)の先駆的研究以降、適応・緩和・生産性向上の三位一体的アプローチとしての理解が深まっている。サツマイモに特化した「気候スマート」アプローチについて、Low et al. (2020)は包括的な概念化を試みており、(1)気候レジリエント品種の開発・普及、(2)資源効率的栽培技術の最適化、(3)価値連鎖全体での気候配慮型実践、(4)知識・情報システムの強化という四つの柱からなるフレームワークを提案している。
品種開発の未来像について、Grüneberg et al. (2022)の最新研究は興味深い展望を提供している。彼らは「次世代デザイナー品種」の概念を提案し、ゲノム編集技術とAI予測モデルを活用した精密育種アプローチにより、複合ストレス耐性(高温・乾燥・塩害・病害の同時耐性)と栄養価を両立した品種の開発可能性を示している。特に、Reynolds et al. (2021)は「フォトシステム最適化」アプローチに注目し、光合成効率の向上(約15-20%増)と水利用効率の改善(約25-30%増)を同時に実現する遺伝的改良の進捗を報告している。
栽培技術の革新も急速に進展している。Rao et al. (2021)の研究では、「精密農業」技術のサツマイモ生産への応用が検討されており、ドローン・センサー・IoTデバイスなどを活用した環境モニタリングと可変投入管理により、気候変動条件下でも投入資源の最適利用と安定生産が可能になることが示されている。具体的に、Haverkort et al. (2022)はサツマイモ向けの「DSS」(意思決定支援システム)の開発を報告し、気象予測、病害虫リスク評価、生育モデルを統合した営農管理支援ツールが実用段階に入りつつあることを示している。
アグロエコロジカルアプローチの発展も注目される。Ferguson et al. (2023)の最新研究では、生態系プロセスの活用を最大化した「レジェネラティブサツマイモシステム」の設計原則が提案されている。このアプローチでは、多様な間作・輪作、永続的被覆、最小耕起、生物多様性保全などの実践を統合し、生態系サービスの強化と気候レジリエンスの向上を同時に実現することを目指している。実践例として、Mutuo et al. (2022)はケニアでの「プッシュプルサツマイモシステム」の導入効果を分析し、害虫抑制(約50%減)、土壌肥沃度向上(有機物約30%増)、収量安定化(変動係数約40%減)が同時に達成されたことを報告している。
バリューチェーン全体でのアプローチも進化している。Glover et al. (2020)の研究では、「気候スマートバリューチェーン」の概念が提案されており、生産から消費までの各段階でのエネルギー効率化、副産物・廃棄物の循環利用、短縮流通路の構築などを統合したシステム設計が進められている。具体的に、Rajendran et al. (2022)は「ロスレス」加工・流通モデルの開発を報告し、太陽熱乾燥技術、バイオディグラダブルパッケージング、コールドチェーン最適化などの技術統合により、ポストハーベストロスの削減(約40-50%)とカーボンフットプリントの低減(約30-40%)が同時に達成されたことを示している。
制度・政策面での革新も必要である。Lobell et al. (2020)の研究では、気候スマート農業普及のための制度的枠組みとして、(1)気候情報サービスの整備、(2)適応技術へのインセンティブメカニズム、(3)カーボンクレジットなどの市場ベースアプローチ、(4)能力開発システムの強化などの重要性が強調されている。具体的事例として、Thiele et al. (2022)は「気候スマートイノベーションプラットフォーム」の開発を報告し、研究者、農民、民間企業、政策立案者などの多様なアクターを繋ぐ協働的イノベーションエコシステムの構築進捗を示している。
長期的展望として、Meinke et al. (2023)は「気候適応発展経路」(Climate Adaptation Pathways)の概念を提案している。このアプローチでは、気候変動の進行に合わせた段階的適応戦略が提唱されており、近未来(〜2030年)、中期(2030-2050年)、長期(2050年〜)の各段階で、適応の深度と範囲を徐々に拡大していく道筋が示されている。サツマイモについて、de Brauw et al. (2023)は具体的な発展経路のシナリオ分析を行い、気候変動の進行度合いと社会経済的条件の変化に応じた複数の可能性を検討している。
予想される技術的ブレークスルーとして、Brozynska et al. (2023)はゲノム編集とフェノミクスの統合による「気候レジリエンス」形質の飛躍的改良を予測している。彼らの分析によれば、特に乾燥耐性(深根性と水利用効率)、高温耐性(花粉稔性と光合成維持)、複合ストレス耐性(複数シグナル経路の同時最適化)などの形質で大きな進展が期待される。具体的に、Wang et al. (2023)はCRISPR-Cas技術を用いた「極限環境適応」遺伝子導入の可能性を示し、野生近縁種や極限環境生物からの有用遺伝子の効率的移転によるブレークスルーを予測している。
社会実装面でのイノベーションも重要である。Krishna Priya et al. (2022)は「コミュニティ主導型気候スマート栽培」モデルを提案しており、参加型品種選抜、農民フィールドスクール、コミュニティシードバンクなどの要素を統合した、地域に根差した適応戦略の開発と普及の重要性を強調している。具体的事例として、Moyo et al. (2023)は「気候スマートビレッジ」アプローチの導入効果を分析し、地域レベルでの総合的適応戦略がサツマイモ生産の安定化と農家のレジリエンス強化に効果的であることを報告している。
しかし、複数の課題も存在する。Liu et al. (2022)の研究は、気候スマートサツマイモシステム普及の主要な障壁として、(1)小規模農家のリスク回避志向、(2)初期投資の制約、(3)情報・知識アクセスの格差、(4)適応技術の局所的適合性の欠如などを指摘している。これらの課題に対応するため、Borlaug Institute (2023)は「マルチレベル・マルチアクターアプローチ」の重要性を強調し、国際・国家・地域・地方レベルの連携強化と、多様なステークホルダーの協働促進が不可欠であると結論づけている。
最新の研究動向として、Global Commission on Adaptation (2023)は「気候レジリエントフードシステム」のビジョンを提示し、その中でサツマイモなどの気候適応型作物を核とした食料安全保障戦略の重要性を強調している。また、Ravi et al. (2023)は「循環型バイオエコノミー」の文脈でのサツマイモの戦略的位置づけを再評価し、食料生産と並行したバイオマテリアル・バイオエネルギー生産システムとしての発展可能性を示している。
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