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純度99.99%のドイツCreaPureと中国産クレアチンの決定的差

第8部:サプリメント産業の実態と質の高い製品の選択法

純度99.9%以上を保証するドイツCreaPureと中国産クレアチンの決定的差

「クレアチンは中国産が多いと聞いたが、本当に大丈夫なのか」「ドイツのCreaPureというのが良いと書かれていたが、何がどう違うのか」——クレアチンを買おうとして検索すると、こうした不安に行き当たる。結論を先に言うと、中国で生産されたクレアチンが必ずしも粗悪というわけではない。しかし、市場全体としては「ラベル通りの純度ではなかった」「規格外の不純物が検出された」という独立分析の報告が一定数あり、消費者がそれを事前に見抜く手段は限られている。CreaPureが信頼されるのは、純度の数字そのものより、不純物管理の規格・製造プロセス・ロットごとの分析証明という三点が公に検証可能になっているからである。

本稿では、CreaPureと一般的な中国産クレアチンの何が具体的に違うのか、市場で実際に何が起きているのかを、査読論文と公式仕様に基づいて整理する。

 

CreaPure®とは何か——ブランドではなく規格

CreaPure®は、ドイツのAlzChem Trostberg GmbHが製造するクレアチンモノハイドレート原料の登録商標である。AlzChemは欧州で唯一規模のあるクレアチン製造拠点を持ち、世界の臨床試験で最も多く使われてきた原料の供給元として知られている。ISSN(国際スポーツ栄養学会)のポジションスタンド(Kreider et al., 2017)でも、エビデンスの大部分はCreaPureまたは同等品質の原料を使った試験に基づいている。

CreaPureの公式仕様は次の通りである(AlzChem公表値):
– クレアチンモノハイドレート純度:99.9%以上を保証(実際のロット分析では99.95〜99.99%が報告される)
– ジシアンジアミド(DCD):EFSAの参照上限である50 mg/kgを大きく下回る水準で管理
– ジヒドロトリアジン(DHT):検出限界以下
– 重金属(鉛・水銀・ヒ素・カドミウム):厳しい上限管理
– 各製造ロットごとに分析を実施し、CoA(分析証明書)を発行

「99.9%以上を保証」という規格は単体ではピンとこないが、後述する第三者の市販品分析と照らし合わせると、この水準を一貫して達成している製品が市場にどれだけ少ないかが分かってくる。

 

製造プロセスの違い——なぜCreaPureはDHTが「検出されない」と言い切れるのか

クレアチンモノハイドレートの工業合成にはいくつかのルートがあるが、CreaPureが用いる方法は、サルコシン酸ナトリウムとシアナミドを原料とする経路である(Pischel & Gastner, 2007)。この経路には化学的に重要な特徴がある。中間体としてDHT(ジヒドロ-1,3,5-トリアジン)が生成しないため、最終製品にDHTが残留することが構造的にありえない。AlzChemが「DHTは検出限界以下」と仕様書で断定できるのは、検査でゼロを確認しているのに加えて、そもそも生成しない反応経路を使っているためである。

一方、別の合成ルート(シアナミドとグリシンを別の条件で反応させる方式など)では、副生成物としてDCDが残りやすく、保存条件によってはDHTが生じる可能性も指摘されている。中国の生産現場ではコスト最適化のために多様な合成経路と精製手法が用いられており、製造者ごとに不純物プロファイルが大きく異なる。これが、「中国産クレアチン」と一括りにしたときの品質のばらつきの根本原因である。

 

市場ではどんな実態が観察されているのか

CreaPureとそれ以外の差を、定性的な広告コピーではなく、独立した市販品分析のデータで見ると次のようになる。

Moret et al.(2011):イタリア・ウーディネ大学のグループが、市販されていた33種類のクレアチンサプリメントについて、有機不純物(クレアチニン、DCD、DHT、チオ尿素)と重金属(ヒ素、カドミウム、水銀、鉛)をHPLCとICP-MSで分析した。結果は次の通りである。
– 44%の製品で、クレアチニンが100 mg/kgを超過(EFSAが参照する仕様の上限を超える)
– 15%の製品で、DHTが検出限界(4.5 mg/kg)を超過し、同時にDCDも50 mg/kgを超過
– チオ尿素の検出はなし
– 重金属では水銀のみが微量検出(1 mg/kg未満)

Moretらは、特定の銘柄を名指しした批判は行っていないが、市販品の少なくない割合が、CreaPureの公開仕様や欧州規制当局が参照する基準を満たしていなかった、という事実を示している。

Escalante et al.(2022, Heliyon):Amazon.comで販売されていた175のクレアチン製品を調査した分析では、第三者認証(NSF、Informed Sport、USP等)を取得していた製品はわずか8%にとどまり、約88%の製品は「生体利用率・有効性・安全性に関するエビデンスが限定的または不十分」と分類された。21.7%は複数のクレアチン形態をブレンドした「複合製品」であり、ラベル表記の主張を裏付ける科学的根拠が乏しいケースが多かった。米国市場にすらこの状態であり、日本の楽天・Amazon.co.jpで流通する製品も、相当部分が同じ供給網の延長にある。

 

EFSAが置く境界線とCreaPureの位置

欧州食品安全機関(EFSA)は、クレアチン製品の安全性評価において、不純物の参考許容値として概ね次の水準を置いている:DCD≦50 mg/kg、DHTは検出されないこと(検出限界3 mg/kg程度)、クレアチニン≦100 mg/kg。

CreaPureはAlzChem公式の品質ページにおいて、DCD・クレアチニンともにEFSAの参照値を大きく下回る水準で管理しており、DHTについては反応経路レベルで生成しないため、これらの境界線を一貫して安全側に下回っている。Moret et al.の調査で15%の製品が超過していたDCD・DHTの基準を、CreaPureは「製造工程の設計として」クリアしているということになる。

なお、EFSAの安全性評価では、仮にDCDが50 mg/kgの製品を1日3g摂取しても、摂取量はDCDの耐容一日摂取量(TDI)の1%未満にとどまるとされており、許容範囲内の不純物である限り、急性毒性のリスクは現実的にはほぼない。ここは過剰に怖がる必要のない点である。問題は、許容範囲を超えて入っていないか、そして消費者がそれを確認できるか、という二点に尽きる。

 

中国産=粗悪、ではない

ここで誤解を避けたい。中国で生産されたクレアチンには、規格外の製品も、CreaPureに匹敵する管理水準で作られている製品も、両方が存在する。中国の主要生産者の中には、欧州規格に準拠したGMP工場で、ロットごとの第三者分析証明を提供しているところもある。「中国産だから危ない」のではなく、「どの工場の、どのロットを、どこまで検証できているか」が問題である。

実際、CreaPureを使わない海外ブランドのクレアチンでも、信頼できる第三者認証(Informed Sport、NSF Certified for Sport、USP Verified)を取得し、ロットごとのCoAを公開している製品は少なからずある。逆に、表面上の見た目だけ整った無認証の製品も多い。

 

選ぶときに見るべき点

ここまでの議論を踏まえると、消費者として実用的なチェックポイントは次のように整理できる。

1. 原料に「CreaPure®」のロゴと記載があるか
ある場合、AlzChemの規格で管理されたドイツ製の原料が使われていることが確認できる。ボトルに小さく「Made with CreaPure®」と印字されているケースが多い。

2. CreaPureでない場合、第三者認証の有無を確認
Informed Sport、NSF Certified for Sport、USP Verified のいずれかがあれば、そのロットが独立検査を経ていることになる。アンチドーピングが重要な競技者にとっては事実上の必須要件。

3. メーカーがCoA(分析証明書)を公開しているか
公式サイトでロット番号とともにCoAをダウンロードできる、または問い合わせれば送付してくれるメーカーは透明性が高い。逆に、OEMブランドで原料サプライヤーも分析結果も非公開の製品は警戒したほうがよい。

4. 単一成分か、複合製品か
純粋なクレアチンモノハイドレートが基本。「マッスル・マトリックス」のような複合製品は、有効用量(クレアチンとして1日5g)が満たされているかラベルから読み取れない場合が多い。

5. 価格があまりに安すぎないか
原料コストと包装・物流・検査費用を考えると、日本国内で500g(100日分)が極端に安価な製品は、原料グレードや検査の有無に懸念が残る。CreaPure使用品で500gあたり3,000〜5,000円台が目安。

6. 開封後の見た目と溶け方
高品質クレアチンは無臭の白〜オフホワイト粉末で、苦味は弱い。黄色味、強い臭気、固化、水に溶かしたときの濁りや沈殿は、品質や保存状態に問題がある可能性を示唆する。

クレアチンそのものの効果は、原料グレードを問わない

最後に、あえて補足したい点がある。クレアチンモノハイドレートが運動パフォーマンスや筋肥大に与える効果そのものは、原料がCreaPureであろうと、信頼できる中国産原料であろうと、本質的には同じである。1日5gの維持量で筋クレアチン濃度がほぼ最大化することはHultman et al.(1996)以来の古典的所見であり、Antonio et al.(2021)のレビューも、用量と方法が同じであれば原料銘柄による効果差は実証されていないと整理している。

CreaPureを選ぶ価値は、「効果がより強い」ことではなく、「効果を享受するときに、不純物への懸念をほぼ無視してよい」ことにある。とくに毎日継続して数年単位で摂取するサプリメントである以上、不純物の累積暴露を最小化することの意味は大きい。

なお、健常な成人で標準用量(3〜5g/日)の長期使用について、腎機能・肝機能への有害影響は対照試験のレビューで確認されていない(Kreider et al., 2017; Antonio et al., 2021)。腎疾患のある方や薬を服用中の方は医師に相談したうえで判断するのが原則である。

 

まとめ

「ドイツ製のCreaPureと中国産クレアチンの差」は、突き詰めると次の三点に集約される。
– 製造プロセスの設計上、有害不純物(特にDHT)が生成し得ない反応経路を使っているか
– 各ロットの分析結果が公開され、消費者が検証できるか
– 国際的な第三者機関による独立検査を経ているか

CreaPureはこれら三点をブランドの仕様として保証しており、これが「99.9%以上」という公表純度の本当の意味である。中国産がすべて粗悪というわけではないが、同等の透明性を提供している製品は限られているため、迷ったらCreaPure表記、なければ第三者認証付きの製品を選ぶ、というシンプルな基準で大きく外すことはない。

毎日続ける一杯だからこそ、銘柄の見えない安価品を選ばずに済む程度の手間はかける価値がある。

 

参考文献

Antonio, J., Candow, D. G., Forbes, S. C., Gualano, B., Jagim, A. R., Kreider, R. B., Rawson, E. S., Smith-Ryan, A. E., VanDusseldorp, T. A., Willoughby, D. S., & Ziegenfuss, T. N. (2021). Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? Journal of the International Society of Sports Nutrition, 18(1), 13. https://doi.org/10.1186/s12970-021-00412-w

Hultman, E., Söderlund, K., Timmons, J. A., Cederblad, G., & Greenhaff, P. L. (1996). Muscle creatine loading in men. Journal of Applied Physiology, 81(1), 232–237. https://doi.org/10.1152/jappl.1996.81.1.232

Escalante, G., Gonzalez, A. M., St Mart, D., Torres, M., Echols, J., Islas, M., & Schoenfeld, B. J. (2022). Analysis of the efficacy, safety, and cost of alternative forms of creatine available for purchase on Amazon.com: are label claims supported by science? Heliyon, 8(12), e12113. https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2022.e12113

Kreider, R. B., Kalman, D. S., Antonio, J., Ziegenfuss, T. N., Wildman, R., Collins, R., Candow, D. G., Kleiner, S. M., Almada, A. L., & Lopez, H. L. (2017). International Society of Sports Nutrition position stand: Safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14, 18. https://doi.org/10.1186/s12970-017-0173-z

Moret, S., Prevarin, A., & Tubaro, F. (2011). Levels of creatine, organic contaminants and heavy metals in creatine dietary supplements. Food Chemistry, 126(3), 1232–1238. https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2010.12.028

Pischel, I., & Gastner, T. (2007). Creatine—its chemical synthesis, chemistry, and legal status. In G. S. Salomons & M. Wyss (Eds.), Creatine and creatine kinase in health and disease (Subcellular Biochemistry, Vol. 46, pp. 291–307). Springer. https://doi.org/10.1007/978-1-4020-6486-9_15

European Food Safety Authority (EFSA). (2004). Opinion of the Scientific Panel on food additives, flavourings, processing aids and materials in contact with food (AFC) on a request from the Commission related to creatine monohydrate for use in foods for particular nutritional uses. EFSA Journal, 36, 1–6. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2004.36

AlzChem Group AG. Creapure® product specifications and quality assurance documentation. https://www.creapure.com/

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