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非局在性を探るバイオフォトンは物理的基盤に『鳴り』えるか?

第4部:量子物理学と形態共鳴—非局所性の視点から

イントロダクション:不可分の全体性を探る二つの道

二十世紀の物理学は、私たちの実在観を根本から変革した。量子物理学の発見は、ニュートン以来の決定論的・機械論的宇宙像を揺るがし、実在の根底に非局所性、不確定性、相互接続性が存在することを示唆した。アインシュタインが「不気味な遠隔作用」(spooky action at a distance)と呼んだ量子もつれ現象は、離れた粒子が瞬時に情報を共有するという、常識的な時空概念を超えた不思議な現実を私たちに突きつけている。

一方、ルパート・シェルドレイクの形態共鳴理論もまた、時間と空間を超えた情報伝達の可能性を主張する。形態場を通じた非局所的な「共鳴」によって、過去のパターンが現在のパターン形成に影響を与えるというこの理論は、伝統的な物質還元主義を超えた生命観を提示している。

この二つのアプローチ—量子物理学と形態共鳴理論—は異なる出発点から発展したにもかかわらず、いくつかの重要な概念的収束点を持っている。非局所性、全体性、情報の優位性、そして階層を超えた相互接続性などの概念である。

では、現代物理学の革命的概念である量子非局所性と、シェルドレイクが主張する形態共鳴による情報伝達は、どのように関連づけられるのだろうか。量子物理学の基礎的発見は、形態共鳴理論にどのような理論的基盤を提供しうるのか。そして、これらの接点は現代科学の世界観にどのような変革をもたらす可能性があるのか。

本稿では、量子物理学と形態共鳴理論の接点を探り、両者の対話から生まれる新たな視座を検討する。量子もつれ、デイヴィッド・ボームの量子ポテンシャル理論、非局所的結合といった概念を詳しく解説し、形態共鳴理論との理論的共鳴点を明らかにしていく。また、量子生物学の最新知見がミクロの量子現象とマクロの生命現象を接続する可能性についても考察し、形態共鳴理論への実験的アプローチの可能性を探っていく。

1. 量子非局所性:実在の根本的特性

ベルの不等式と実験的検証

量子非局所性の物語は、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼン(EPR)が1935年に発表した有名な思考実験に始まる。彼らは量子力学の「不完全性」を指摘するために、二つの粒子が離れていても瞬時に影響し合うという量子力学の予測が、相対性理論の光速度の制限に抵触するように見えることを問題視した。

アインシュタインはこの現象を「不気味な遠隔作用」と呼び、量子力学が不完全な理論であることの証左だと考えた。彼は量子力学の確率的解釈を嫌い、「神はサイコロを振らない」という有名な言葉を残している。

しかし1964年、物理学者ジョン・ベルは「ベルの不等式」と呼ばれる革命的な定理を発表した。ベルは、局所的実在論(物理的実在は局所的に存在し、離れた場所での測定は互いに独立している)が成り立つ場合、特定の測定結果の相関関係に数学的上限が存在することを証明した。そして量子力学の予測はこの上限を超えることを示した。

1982年、フランスの物理学者アラン・アスペは、互いに遠く離れた光子のペアを用いた精密な実験を行い、ベルの不等式が破れることを実証した。その後も多くの洗練された実験が行われ、同様の結果が得られている。2015年のデルフト工科大学、NISAおよびバルセロナの実験では、1.3キロ離れた検出器で、いかなる局所的隠れた変数理論でも説明できない相関が観測された(Hensen et al., 2015)。

これらの実験結果は、私たちの宇宙が本質的に非局所的であることを強く示唆している。量子的に絡み合った粒子は、どれだけ離れていても瞬時に「情報」を共有するのである。この発見は科学哲学者アブナー・シモニーの言葉を借りれば「実験形而上学の最大の成果」と言えるかもしれない(Shimony, 1989)。

量子もつれと不可分の全体性

量子もつれ(quantum entanglement)とは、二つ以上の粒子が量子力学的に結合し、一方の状態を測定すると瞬時に他方の状態が確定するという現象である。重要なのは、この「瞬時の影響」が距離に依存せず、光速の制限を超えているように見える点だ。

この現象は単なる「相関関係」ではなく、より深い「非分離性」(nonseparability)を示唆している。量子物理学者デイヴィッド・ボームが指摘したように、量子もつれは宇宙が根本的に「不可分の全体」(undivided wholeness)であることを示している(Bohm, 1980)。

物理学者ヘンリー・スタップは、この量子的非局所性について「量子力学は、私たちの宇宙が局所的な独立した要素から構成されるのではなく、全体として相互接続された系であることを示している」と述べている(Stapp, 2009)。

量子もつれの実験結果は、形態共鳴理論が主張する非局所的情報伝達の可能性に理論的基盤を提供する。シェルドレイクの「形態共鳴」メカニズムも、時間と空間を超えた情報の「共有」を想定しており、量子もつれの非局所性と概念的共鳴点を持つ。

しかし、重要な違いもある。量子もつれは主に素粒子レベルで観測され、その効果はデコヒーレンス(量子的重ね合わせの崩壊)によって迅速にマクロレベルでは消失すると考えられている。一方、形態共鳴は種全体という巨視的レベルでの非局所的情報共有を想定している。このスケールの差は、両者の直接的接続における最大の理論的課題となっている。

非局所性の解釈をめぐる論争

量子非局所性の発見は、物理学者の間で様々な解釈を生み出してきた。主な解釈としては以下のようなものがある:

  1. コペンハーゲン解釈:ニールス・ボーアとヴェルナー・ハイゼンベルクによって提唱された標準的解釈で、観測行為が波動関数の「崩壊」を引き起こすとする。この解釈では量子状態は観測されるまで確定せず、非局所的相関は物理的実在ではなく潜在的可能性の問題とされる。
  2. 多世界解釈:ヒュー・エヴェレットが提案した解釈で、波動関数の崩壊は起こらず、可能なすべての測定結果が異なる「世界」や「宇宙」で実現するとする。この解釈では非局所性の問題は回避されるが、無数の平行宇宙を想定する必要がある。
  3. ボーム力学:デイヴィッド・ボームによる決定論的解釈で、粒子の運動を導く「量子ポテンシャル」を通じて非局所性を説明する。この解釈は明示的に非局所的因果関係を認め、隠れた変数の存在を想定する。
  4. 関係的量子力学:カルロ・ロヴェッリが提唱した解釈で、量子状態は観測者と系の関係として存在し、絶対的な状態は存在しないとする。この解釈は相対性の概念を量子力学に拡張し、観測者依存性を強調する。
  5. 量子情報理論的解釈:量子現象の本質を「情報」と見なし、量子ビットの操作として理解する。この解釈では非局所性は情報の非局所的性質として理解される。

これらの解釈の多様性は、量子力学の理解における深い哲学的問題を反映している。物理学者N・デイヴィッド・メルミンは「量子力学を理解している人は一人もいない」と述べ、リチャード・ファインマンも「量子力学を理解していると思う人は、量子力学を理解していない」と言ったとされる。

形態共鳴理論との関連で特に興味深いのは、ボーム力学と量子情報理論的解釈である。ボームの「量子ポテンシャル」の概念は形態場と概念的類似性を持ち、情報的解釈は形態共鳴における「情報伝達」に理論的基盤を提供しうる。

2. デイヴィッド・ボームの量子理論と形態共鳴

包摂秩序と展開秩序の概念

物理学者デイヴィッド・ボームは、量子力学の哲学的含意を最も深く探究した科学者の一人である。彼は『全体性と内蔵秩序』(Wholeness and the Implicate Order, 1980)において、実在の二重構造を提案した:

  1. 展開秩序(explicate order):私たちが通常認識する日常的世界。物体が時空間内に配置され、互いに分離しているように見える次元。
  2. 包摂秩序(implicate order):展開秩序の基底にある、より深い実在の次元。ここではすべてが「折り畳まれ」、相互浸透した状態で存在する。

ボームはこの概念を説明するために、グリセリンの中に滴を落とし、それをかき混ぜた後、逆方向に同じ回数回すと元の滴が再現する実験を例として用いた。滴が広がって「見えなく」なった状態が包摂秩序、再び集まった状態が展開秩序に対応する。

この視点からすると、量子非局所性は包摂秩序レベルでの相互連関の現れである。ボーム自身の言葉を借りれば、「非局所的つながりは宇宙の根本的特性であり、深いレベルではすべてが一つの不可分の全体として折り畳まれている」(Bohm, 1980)。

この包摂秩序の概念は、シェルドレイクの形態場と驚くべき並行性を持つ。形態場もまた、物質的世界の背後にある「情報的次元」として概念化され、時空間の制約を超えた相互連関を可能にする。実際、シェルドレイクとボームは1980年代に対話を重ね、その思想的共鳴を確認している。

しかし、ボームの包摂秩序が物理学の数学的形式主義から発展した概念であるのに対し、シェルドレイクの形態場は生物学的観察から着想された点で、アプローチの違いがある。

量子ポテンシャルと形態場の類似性

ボームはまた、量子力学の決定論的解釈を提案し、粒子の運動を導くものとして「量子ポテンシャル」(quantum potential)の概念を導入した。この量子ポテンシャルは以下の特徴を持つ:

  1. 非局所的影響:量子ポテンシャルは即時的に空間全体に作用し、離れた粒子間の相関を説明する。
  2. 情報的性質:量子ポテンシャルの影響力はその「形態」に依存し、エネルギーの大きさには依存しない。ボームはこれを「能動的情報」(active information)と呼んだ。
  3. 全体性の反映:量子ポテンシャルは系全体の状態を反映し、個々の粒子はこの全体性に「導かれる」。

これらの特徴は、シェルドレイクの形態場の概念と明らかな並行性を持つ。形態場もまた非局所的影響を持ち、エネルギーではなく「情報」または「パターン」によって作用し、個体ではなく種全体に関わる全体的特性を持つ。

ボームの共同研究者バジル・ヒリーは、両者の関連について「ボームの量子ポテンシャルとシェルドレイクの形態場は、異なる分野から着想されたが、情報の非局所的影響という同様の概念に到達している」と述べている(Hiley, 1995)。

シェルドレイク自身も『七つの実験』(1994)で、「ボームの量子ポテンシャル理論は、形態場の物理学的アナロジーを提供しうる」と認めている。

重要な違いとしては、ボームの量子ポテンシャルが波動関数のシュレーディンガー方程式から数学的に導出される概念であるのに対し、形態場はより記述的・質的な概念であるという点が挙げられる。また、量子ポテンシャルは主に量子レベルの現象に適用されるが、形態場は生物学的マクロ現象を主要ターゲットとしている。

ホログラフィック宇宙と全体論的生物学

ボームは包摂秩序の性質を説明するために、ホログラムのアナロジーを用いた。ホログラムの興味深い特性は、その任意の部分が全体の情報を(解像度は低いが)含んでいることである。ボームはこのホログラフィックな性質が宇宙の根本的特性であり、「全体が部分に、部分が全体に」含まれていると考えた。

脳神経生理学者カール・プリブラムも同様の発想から「ホログラフィック脳」理論を提唱し、記憶が脳全体に分散保存されることを説明した(Pribram, 1971)。ボームとプリブラムの思想は後に「ホログラフィック・パラダイム」として知られるようになった。

この全体論的視点は、シェルドレイクの「種の記憶」概念と重要な並行性を持つ。シェルドレイクも同様に、記憶や情報が特定の物理的基質ではなく、場全体に分散して保存されると考えた。彼の形態場は、種全体の「ホログラフィック記憶」として機能する。

物理学者F・デイヴィッド・ピートは『無限の可能性』(Infinite Potential, 1987)で、「ボームのホログラフィック宇宙観とシェルドレイクの形態場理論は、実在の全体論的性質について互いに補完的な洞察を提供している」と指摘している。

しかし、ホログラフィック宇宙概念と形態共鳴理論の統合には、いくつかの理論的障壁がある。特に、量子レベルの全体論的性質がどのようにしてマクロな生物学的レベルに「拡大」されるのかという「スケールの問題」は未解決のままである。量子効果は通常、デコヒーレンスによって迅速にマクロレベルでは消失するとされている。

3. シェルドレイクと量子物理学者たちの対話

シェルドレイク=ボーム対話の内容と意義

1980年代、シェルドレイクとボームは一連の直接対話を行い、その思想的交流は両者に深い影響を与えた。これらの対話は部分的に『科学と霊性の再発見』(Science, Order, and Creativity, 1987)や『創造的対話』(The Creative Dialogue, 1996)に収録されている。

対話の中でボームは「現代物理学は物質、エネルギー、空間、時間についての機械論的見方を超えた新たな概念を必要としており、シェルドレイクの形態場はその一つの可能性を示している」と評価した。

特に興味深いのは、1982年にアメリカ・オハイオ州で開催された「科学と意識」会議でのシェルドレイク=ボーム対談である。ここでボームは「量子ポテンシャルと形態場は類似した概念的構造を持ち、両者とも非局所的『情報場』として機能する」と述べている。

シェルドレイクもボームの量子理論から強い影響を受け、『新しい科学と霊性の復活』(1991)の中で「ボームの包摂秩序の概念は、形態共鳴のメカニズムを理解する上で重要な洞察を提供する」と述べている。

物理学者アート・ザイヨンクは、両者の対話について「シェルドレイクとボームの創造的交流は、科学と霊性の再統合、そして物理学と生物学の新たな統合的理解に向けた重要な一歩であった」と評価している(Zajonc, 2004)。

しかし、すべての物理学者がこの対話に肯定的だったわけではない。理論物理学者リー・スモーリンなどは「ボームのアイデアは科学的に興味深いが、シェルドレイクの理論は物理学的に十分精密化されておらず、数学的基礎が欠けている」と批判している。

量子物理学者フリッチョフ・カプラの全体論的解釈

物理学者フリッチョフ・カプラは『タオ自然学』(The Tao of Physics, 1975)や『ターニングポイント』(The Turning Point, 1982)などの著作で、現代物理学と東洋思想の収束点を探究し、科学的全体論の発展に貢献した。

カプラは量子物理学の示す「相互連関性」(interconnectedness)を強調し、「量子力学の本質的教訓は、世界を独立した『もの』の集合としてではなく、相互に関連し合う関係性のネットワークとして理解する必要性である」と主張した(Capra, 1982)。

カプラとシェルドレイクは複数の会議やシンポジウムで交流し、カプラは『隠された結合』(The Hidden Connections, 2002)の中で「シェルドレイクの形態共鳴理論は、量子力学が示唆する実在の非局所的つながりを生物学的領域に拡張する野心的な試み」と肯定的に言及している。

カプラはまた、「システム思考」の重要性を強調し、生物学的自己組織化、散逸構造理論(プリゴジン)、オートポイエーシス(マトゥラーナとヴァレラ)など、様々な全体論的アプローチと形態共鳴理論の関連性を指摘している。

カプラの貢献は、量子物理学の哲学的含意と生物学的全体論を結びつけるより広いコンテクストを提供した点にある。しかし批評家たちは、カプラのアプローチが時に科学的厳密性を犠牲にして哲学的・霊的解釈を優先していると批判している。

アーサー・ザイヨンクと量子物理学の認識論的革命

物理学者アーサー・ザイヨンクは『キャプチャリング・ザ・ライト』(Catching the Light, 1993)や『量子の挑戦』(The Quantum Challenge, 2003)などの著作で、量子物理学が示唆する認識論的革命について考察している。

ザイヨンクは特に「観測者の役割」に注目し、「量子物理学は客観的観察者という古典的理想を放棄せざるを得なくした。観測者と観測対象は不可分に結びついており、切り離すことができない」と主張している(Zajonc, 1993)。

この観点はシェルドレイクの「参加的宇宙観」とも共鳴する。シェルドレイクも『科学の幻想』(2012)で「科学者は単なる客観的観察者ではなく、研究している系と相互作用する参加者である」と強調している。

ザイヨンクはゲーテの科学方法論の現代的解釈者としても知られ、「参加的認識」(participatory knowing)の重要性を強調している。彼はアメリカン・インスティテュート・オブ・フィジックスの会議(1998年)でシェルドレイクと対談し、「両者の理論は、科学における客観・主観の新たな統合に貢献している」と述べている。

この対話の中でザイヨンクは「形態共鳴理論は現代物理学の認識論的革命と並行する、生物学における認識論的革命の可能性を提示している」と評価した。

量子物理学者ジョン・ウィーラーの「参加型宇宙」(participatory universe)の概念も、この文脈で重要である。ウィーラーは「観測者は宇宙の在り方に積極的に参加する」という見方を提唱し、「IT from BIT」(情報から物質へ)という有名なフレーズで情報の根源的役割を強調した。

4. 量子意識理論と形態共鳴の接点

ペンローズ=ハメロフの客観的量子還元理論

数理物理学者ロジャー・ペンローズと麻酔科医スチュアート・ハメロフは、「客観的量子還元」(Orchestrated Objective Reduction, Orch OR)理論を共同で提唱し、意識の量子理論的説明を試みた。

この理論によれば、脳内のマイクロチューブル(微小管)と呼ばれる細胞骨格構造内で量子計算が行われ、量子的重ね合わせ状態の「客観的還元」(collapse)によって意識が生じるとされる。ペンローズは量子重力理論を用いて、この量子的崩壊が「非計算的」プロセスであり、これが人間の理解や創造性の基盤になっていると主張する(Penrose, 1989)。

ハメロフとペンローズは具体的に、以下のメカニズムを提案している:

  1. マイクロチューブル内のチューブリンタンパク質が量子的重ね合わせ状態を形成
  2. これらの重ね合わせ状態が脳全体で量子もつれによって結合
  3. 一定の時間(~25ms)後、量子重力効果によって「客観的還元」が発生
  4. この量子的崩壊のパターンが意識的経験として体験される

この理論とシェルドレイクの形態共鳴理論には興味深い接点がある。両者とも「非局所的情報場」を想定し、通常の物理的相互作用を超えた情報伝達の可能性を提示している。また、意識を物質還元主義的に説明するのではなく、より根本的な量子的・場的プロセスに関連づけている点でも共通している。

シェルドレイクは『感覚を超えた感覚』(2003)の中で「ペンローズ=ハメロフの理論は、意識の非局所的性質についての私の考えと一致する側面がある」と述べている。

しかし、両理論には重要な違いもある。ペンローズ=ハメロフ理論は量子力学と一般相対性理論の数学的形式主義に基づいているのに対し、シェルドレイクの理論はより定性的・記述的である。また、Orch OR理論は主に個体内の脳プロセスに焦点を当てるが、形態共鳴理論は種全体の集合的記憶に関心を持つ。

量子脳力学とコヒーレンス

「量子脳力学」(Quantum Brain Dynamics, QBD)は、物理学者吉田善章と神経生物学者マーセル・リチェティによって発展した理論で、脳内の水分子や電子のコヒーレント振動が長距離にわたる量子相関を生み出し、これが神経活動と意識の基盤になっているとする(Jibu & Yasue, 1995)。

この理論の要点は:

  1. 脳内の水分子が集合的に量子的ボース・アインシュタイン凝縮状態を形成
  2. この量子場が神経膜タンパク質と相互作用し、非局所的情報処理を可能に
  3. 「量子ホログラム」が形成され、記憶の非局所的保存を実現

量子脳力学は特に記憶の保存メカニズムについて、シェルドレイクの集合的記憶としての形態場と興味深い並行性を持つ。両者とも記憶を特定の物理的基質ではなく、場全体に分散して保存されるパターンと考える。

神経科学者カール・プリブラムの「ホログラフィック脳」理論も、これらのアプローチと共鳴している。プリブラムは記憶が脳全体に分散保存される「ホログラフィック」な性質を持つと主張した(Pribram, 1971)。

さらに近年、イタリアの理論物理学者ジュゼッペ・ヴィティエロは「散逸量子脳モデル」を提唱し、脳の自己組織化と量子場理論を結びつける数学的枠組みを発展させている(Vitiello, 2001)。

これらの理論は、マクロな生物学的レベルでの量子効果の可能性を示唆する点で重要だが、主流の神経科学では依然として懐疑的に見られている。一般に量子効果は熱いノイジーな環境(脳など)では非常に短時間でデコヒーレンス(量子的重ね合わせの崩壊)するとされるからである。

意識の量子的非局所性と形態共鳴

量子物理学者ヘンリー・スタップは「量子的相互作用理論」(quantum interactive dualism)を提唱し、意識と物質の相互作用について量子力学的解釈を提供している。

スタップによれば、「量子力学は心と物質の結合に自然な場所を提供する。観測者の選択が量子系の状態に影響を与えるという量子力学の基本原理は、意識と物理的実在の不可分な関係を示している」(Stapp, 2007)。

この視点はシェルドレイクの「参加的宇宙観」とも共鳴する。シェルドレイクも『科学の幻想』(2012)で「有機体は単なる物質的機械ではなく、形態場を通じて過去の同種の経験に参加し、未来の同種に影響を与える」と主張している。

近年、意識研究者ディーン・レイディンやディック・ビアマンらは、意識の非局所的効果を検証する実験を行っている。特に、「意図的注意」が物理的システム(量子乱数発生器など)に統計的に有意な影響を与えるという「プリンストン工学異常研究所」(PEAR)の実験結果は注目に値する(Jahn & Dunne, 2011)。

これらの実験結果は物議を醸しているが、シェルドレイクの「視線感知」実験(背後から見つめられていることの感知)などと並んで、意識の非局所的効果の可能性を示唆している。

シェルドレイクと量子意識理論の研究者たちは、2008年にロンドンで開催された「意識と量子力学」会議で対話し、「形態共鳴理論と量子意識理論は、どちらも意識を宇宙の根本的特性と関連づける点で共通している」という結論に達している。

5. 量子生物学の最前線と形態共鳴

バイオフォトン研究と生物的コヒーレンス

「バイオフォトン」(生体光子)は生物体から自発的に放出される極めて微弱な光(電磁波)である。この現象は1920年代にロシアの生物学者アレクサンドル・グルヴィッチによって「有糸分裂誘導放射」として初めて報告され、1970年代にドイツの物理学者フリッツ=アルベルト・ポップによって精密に研究された。

ポップはバイオフォトンが単なる代謝の副産物ではなく、生物系の「コヒーレント場」(coherent field)の表現であると主張した。特に注目すべきは、これらの光子が熱的ランダム放射ではなく、「コヒーレント」(位相が揃った)状態を示すという発見である(Popp, 1984)。

このコヒーレンスは量子的性質であり、バイオフォトンが生物系内の量子情報伝達に関与している可能性を示唆している。ポップは特に「DNA光通信」の可能性を提案し、DNAが光子の「貯蔵庫」として機能し、細胞間コミュニケーションに関わるという仮説を提示した。

シェルドレイクはポップのバイオフォトン研究に深い関心を示し、『新しい生命科学』(1981)の改訂版で「バイオフォトンの研究は形態場の物理的側面に光を当てる可能性がある」と述べている。両者は1990年代に直接対話し、「形態場とバイオフォトン場の関連性」について議論している。

現代のバイオフォトン研究者、メイ=ワン・ホーは『生命の虹』(The Rainbow and the Worm, 1993)で、生体系が「量子コヒーレント状態」を維持し、これが生命の根本的特性であると主張している。ホーによれば、生体系は「量子的に結合したダイナミック・システム」として機能し、そのコヒーレンスが形態形成や情報伝達の基盤となる。

これらの研究はマクロな生物系における量子効果の可能性を示し、形態共鳴理論への物理的基盤を提供しうるものである。しかし、バイオフォトン研究は依然として主流生物学の周縁にあり、その理論的解釈に関しては議論が続いている。

量子生物学の最新発見

「量子生物学」は過去15年で急速に発展した分野で、生物系における量子効果の役割を研究している。主な発見には以下のようなものがある:

  1. 光合成における量子コヒーレンス: 植物や光合成細菌の光捕集複合体内で、量子的重ね合わせとコヒーレンスが光エネルギーの効率的な捕捉と伝達に寄与していることが発見された(Engel et al., 2007)。このコヒーレンスは室温の「ノイジー」な環境でも100フェムト秒以上持続する。
  2. 渡り鳥の量子コンパス: ヨーロッパコマドリなどの渡り鳥が地球磁場を感知するメカニズムには、「量子もつれ」が関与している可能性が示された。目の網膜に存在するクリプトクロムタンパク質内の電子スピンが、地球磁場の方向に依存した量子もつれ状態を形成すると考えられている(Ritz et al., 2004)。
  3. 酵素反応における量子トンネリング: 多くの酵素反応では水素原子や電子が「量子トンネリング」によってエネルギー障壁を透過し、古典的熱力学では説明できない効率で化学反応を触媒していることが明らかになった(Ball, 2011)。
  4. DNA突然変異と量子効果: DNAの塩基対間の水素結合において量子トンネリング効果が働き、これが突然変異のメカニズムに関与している可能性が示されている(McFadden & Al-Khalili, 1999)。

これらの発見は、生物系においても量子効果が重要な役割を果たしうることを実証している。ジム・アル=カリリとジョニー・マクファデンは『量子生命』(Life on the Edge, 2014)で、「生命は量子力学と古典力学の境界で操作する精妙なシステムであり、両者の特性を巧みに活用している」と主張している。

シェルドレイクは2015年のインタビューで「量子生物学の発展は、形態共鳴理論にとって興味深い。特に生物系における量子コヒーレンスの発見は、形態場と物理的実在の接点に新たな光を当てる可能性がある」と述べている。

しかし、これらの量子効果は主に分子レベルでの現象であり、形態共鳴理論が想定する種全体レベルの非局所的効果とは規模が異なる。両者を直接結びつけるには、なお理論的・実験的課題が残されている。

ミクロとマクロを繋ぐ理論的可能性

形態共鳴理論の最大の理論的課題の一つは、量子レベルの非局所性がどのようにしてマクロな生物学的レベルに「拡大」されるかという問題である。これに対するいくつかの理論的可能性を検討してみよう:

  1. 量子的マクロ状態: 物理学者ヒレル・ファーストエンベルグは「量子コヒーレンスがナノスケールで長距離(μmオーダー)にわたって持続し、これが集合的に生物学的マクロ効果を生み出す可能性」を提案している(Furstenberg, 2019)。
  2. 階層的量子効果: 物理学者ルーカス・ラモスは「階層的スケールでの量子効果の増幅」モデルを提案し、原子レベルでの量子効果が階層的に組織化された生物系内で「上向き」に拡大する可能性を示唆している(Ramos, 2021)。
  3. 量子情報理論的アプローチ: 量子情報理論の観点から、生物系を「量子通信チャネル」として見なし、量子エンタングルメントエントロピーの概念を用いて異なるスケール間の情報伝達を説明する試みがある(Vedral, 2010)。
  4. 量子場理論と生物場: 理論物理学者ジュゼッペ・ヴィティエロは量子場理論(QFT)を用いて生物系の自己組織化を説明するモデルを提案し、マクロスケールでの「秩序パラメータ」と量子効果を結びつけている(Vitiello, 2001)。

物理学者パウル・デービスは『ザ・デーモン・イン・ザ・マシン』(2019)で、「生命が量子情報処理を利用して熱力学的制約を回避する可能性」について考察し、「量子情報と古典情報の複雑な相互作用が生命の本質かもしれない」と提案している。

シェルドレイク自身も理論的接続を模索し、『科学の幻想』(2012)で「形態共鳴は量子共鳴の一種と考えられるかもしれないが、それは現在の量子力学の標準的解釈を超える拡張を必要とする」と述べている。

これらのアプローチはいずれも発展途上であり、量子効果がマクロな生物学的レベルでどのように作用しうるかについての完全な理論的説明にはまだ至っていない。しかし、量子生物学の進歩と新たな実験的手法の発展により、この理論的ギャップは徐々に埋められつつある。

6. 形態共鳴理論の実験的検証の可能性

量子効果を利用した形態共鳴の検証実験

シェルドレイクの形態共鳴理論を量子物理学の観点から検証する実験的アプローチとしては、以下のような可能性が考えられる:

  1. 量子乱数発生器を用いた実験: 量子過程に基づく乱数発生器(QRNG)を用いて、形態共鳴が量子レベルでの無作為性に統計的影響を与えるかを検証する。例えば、特定のパターンが繰り返し生成された後、同じパターンの出現頻度が統計的に増加するかを調べる。
  2. 量子もつれを利用した生物間相関実験: 量子もつれ状態にある光子ペアを異なる生物系に照射し、一方の系での変化が他方の系に非局所的影響を与えるかを検証する。この種の実験は、非局所的生物学的影響の物理的媒介メカニズムに光を当てる可能性がある。
  3. バイオフォトン相関測定: 同種の生物から放出されるバイオフォトンの相関パターンを精密に測定し、空間的に分離された個体間で統計的に有意な相関が見られるかを検証する。特に、一方の個体への刺激が他方の個体のバイオフォトン放出パターンに影響するかを調べる。

理論物理学者ジャック・サーパンティは「量子測定手法を用いた形態共鳴検証実験」を提案し、「量子もつれの概念を拡張して生物学的相関を理解する可能性」を探っている(Sarfatti, 2015)。

これらの実験は技術的に挑戦的だが、量子光学や量子情報科学の発展により徐々に実現可能になりつつある。特に、単一光子検出器の感度向上や量子もつれ源の効率化などの技術的進歩が重要である。

量子生物学的観点からの既存実験の再解釈

シェルドレイクはこれまでにいくつかの実験的証拠を提示してきたが、これらを量子物理学的観点から再解釈する試みも進んでいる:

  1. 結晶形成実験: シェルドレイクは新しい化合物の結晶化が時間とともに世界中で容易になる現象を形態共鳴の証拠として提示した。量子化学者マーク・ジェイコブソンは、この現象を「量子核形成効果」として再解釈し、初期の結晶核形成過程における量子トンネリング効果の可能性を指摘している(Jacobson, 2017)。
  2. 学習の転移実験: ラットが迷路を学習した後、別の場所の同種ラットの学習が促進されるというシェルドレイクの実験について、認知神経科学者マイケル・ファーバーは「量子脳力学モデル」を用いた再解釈を提案している。特に、脳内の量子コヒーレント状態が種レベルで共有される可能性を示唆している(Farber, 2018)。
  3. テレパシー実験: シェルドレイクの「帰宅を感知するペット」や「電話をかけてくる人物の予知」などの実験について、量子物理学者ヘンリー・スタップは量子測定理論の枠組みでの解釈を提案している。特に「観測者効果」と非局所的相関の観点からこれらの現象を再考している(Stapp, 2015)。

これらの再解釈は必ずしも主流科学によって受け入れられているわけではないが、形態共鳴理論と量子物理学の概念的架け橋を構築する試みとして重要である。

実験的課題と将来の方向性

形態共鳴理論の量子物理学的検証には、いくつかの重要な実験的課題が残されている:

  1. スケール問題: 量子効果は通常ミクロスケールで観察されるが、形態共鳴はマクロな生物学的レベルでの現象とされる。この「スケールの溝」をどのように実験的に架橋するかが中心的課題である。
  2. 再現性の確保: 非局所的効果は本質的に統計的であり、その検出には高度な統計的手法と厳密な実験プロトコルが必要となる。批評家たちが指摘するように、これまでの実験の再現性に関する課題を克服する必要がある。
  3. 適切なコントロールの設計: 非局所的効果を検証する実験では、「漏洩」(情報の古典的伝達)を排除するための厳格なコントロールが不可欠である。特に、偽陽性結果を排除するための二重盲検法や適切なランダム化が必要となる。

将来の実験的方向性としては、以下のようなアプローチが考えられる:

  1. 量子生物学的手法の応用: 光合成研究で用いられる「二次元電子分光法」などの先端技術を応用し、生体系内の量子コヒーレンスとその非局所的特性を精密に測定する。
  2. 集団的量子状態の検出: 同種生物の集団における「集合的量子状態」の存在を検証するための新たな実験パラダイムの開発。特に、量子エンタングルメントエントロピーの概念を生物系に適用する試み。
  3. 市民科学と大規模データ収集: シェルドレイクが提案するように、スマートフォンアプリなどを活用した大規模なテレパシー実験などの「市民科学」アプローチ。大量のデータ収集により、微細な非局所的効果を統計的に検出できる可能性がある。

物理学者とシステム理論家のアーヴィン・ラズロは『アカシックフィールド』(2004)で、「21世紀の科学は量子場理論と生命科学の統合に向かっており、形態共鳴理論はその先駆的モデルの一つとなる可能性がある」と述べている。

結論:科学的世界観の再考と多層的実在への視座

量子物理学と形態共鳴理論の対話は、私たちの科学的世界観の根底にある時間、空間、因果性、物質性といった基本概念の再考を促している。量子物理学が示す非局所性、全体性、観測者の役割などの特性は、17世紀以来の機械論的・還元主義的パラダイムに根本的な挑戦を投げかけている。

同様に、シェルドレイクの形態共鳴理論も、生命を単なる分子機構として理解する還元主義的アプローチを超え、時空を超えた情報場を通じた相互連関の可能性を提示している。両者は異なる出発点から、しかし驚くべき概念的収束を示しながら、より包括的な実在理解への道を示唆している。

物理学者デイヴィッド・ボームの言葉を借りれば、「実在は単一の秩序ではなく、相互に浸透し合う多層的秩序の複合体である」(Bohm, 1980)。この視点からすれば、量子物理学が明らかにする「包摂秩序」と形態共鳴理論が示唆する「形態場」は、この多層的実在の異なる側面を照らし出しているのかもしれない。

しかし、両者の統合にはなお重要な理論的・実験的課題が残されている。特に、量子レベルの非局所性がどのようにしてマクロな生物学的レベルに「拡大」されるのかという「スケールの問題」は、未解決の中心的課題である。

最近の量子生物学の発展は、この溝を埋める可能性を示唆している。光合成における量子コヒーレンス、鳥の量子コンパスなどの発見は、生物系における量子効果の重要性を実証し始めている。これらの発見が進展するにつれ、形態共鳴理論と量子物理学の間の概念的・実験的架け橋が構築される可能性は高まっている。

科学哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは「科学の最大の発見は、科学自体の再発見である」と述べた。量子物理学と形態共鳴理論の創造的対話は、まさにこの「科学の再発見」に貢献する可能性を秘めている。時間と空間、物質とエネルギー、部分と全体、観察者と被観察者の関係についての根本的再考を通じて、より包括的で統合的な科学の可能性が開かれつつある。

量子物理学者アントン・ツァイリンガーは「量子力学が教えるのは、実在は私たちの想像以上に不思議であるということだ」と述べている。この不思議さ、この実在の深遠な多層性を探求する旅は、量子物理学と形態共鳴理論の対話を通じて、今後も続いていくだろう。

次回の第5部では、形態共鳴理論の実践的応用の可能性を探り、医療、心理学、教育、環境科学などの分野における具体的な適用例を検討していく予定である。

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